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ジャック・デリダ 「差延」を読む

価格:1,320円(税込)

【概要】
著者:森脇透青/西山雄二/宮﨑裕助/ダリン・テネフ/小川歩人
新書判・224ページ
出 版 社:読書人
ISBN13:978-4-924671-57-7
発売日:2023/4/6
ジャック・デリダ 「差延」を読む

内容・概要

『ジャック・デリダ 「差延」を読む』

著者:森脇透青/西山雄二/宮﨑裕助/ダリン・テネフ/小川歩人

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新書判・224ページ
出 版 社:読書人
ISBN13:978-4-924671-57-7
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「ジャック・デリダのすべてが『差延』に集約されるのではなく、デリダのすべてが『差延』から出てくるのだと主張しておかなければならない」(ジャン=リュック・ナンシー)。

20世紀フランス現代思想の代表的知識人ジャック・デリダ。その名前は「脱構築/ディコンストラクション」の思想とともに、現在でも広く知られる。デリダの思想の影響は、哲学のみにとどまらず、文学理論、政治、法哲学までに及ぶ。日本の思想家への影響は、蓮實重彦、柄谷行人、高橋哲哉、小林康夫、鵜飼哲、浅田彰、東浩紀など幅広い。また近年においても、若手研究者が増加している。
そのジャック・デリダが、若干38歳の時に発表した「差延」は、当時のフランス哲学の錚々たる研究者(権威)の前で発表された。デリダが、何を語ろうとしたのかは、未だ多くの謎を残す。この「差延」論文を精緻に読み、詳細な解説・講演を行ったのが、若手デリダ研究者(京都大学大学院博士課程)の森脇透青である。また、森脇の講演に対して、宮﨑、テネフ、西山、小川といったデリダ研究者が丁寧に応える。7時間を超えるシンポジウムの全記録に、森脇をはじめとして発言者が大幅に加筆。
当時、フランス哲学会の重鎮たちが、新進気鋭の哲学者デリダの発表に、どう反応したのか。日本語未邦訳の発言も多数紹介。
本書は、最新のデリダ研究への誘いの書となる。最もわかりやすいデリダ入門であり、初学者が紐解ける〈哲学入門の書〉である。

◆目次
はじめに
第Ⅰ部 ジャック・デリダ「差延」解説
今日、デリダを読むために──入門書の時代
「差延」論文の紹介・差延の位置──なぜデリダのテクストは読みづらいのか
Ⅰ 前置き──差延を語ることについて
差延とは何でないか──「説明する」とは何か
差延の戦略──目的地なき冒険
小括 ①
Ⅱ「差延」の語義分析──時間化と空間化
差延──「間隔化」と「時間かせぎ」
記号と差延──古典的記号概念
現代記号学の地平──ソシュール記号学
小括 ②
Ⅲ 差延のリソース
① ヘーゲル──「イェーナのヘーゲル」/差異、差異化、差延
コイレのヘーゲル論/「差異的関係」と「差異化する関係」と「差延」の差異
問いの形式と「意識」の特権──「とは何か」とは何か
② ニーチェ──『ニーチェと哲学』/諸力の闘争、差延としての「同じもの」

「同じもの」のポリティカル・エコノミー
解釈──「素朴さ」の擁護
③ フロイト(バタイユ、レヴィナス)──痕跡と記憶/死の賭け/現前したことのない過去
精神分析と差延
『科学的心理学草稿』における記憶論──間隔化
保留、遅れ、事後性のモチーフ──時間かせぎ
一般経済と限定経済──バタイユ、死への賭け
無意識は潜在性ではない──事後性
現前したことのない過去と「帝国主義」──レヴィナス
小括③
Ⅳ 差延とハイデガー
「揺るがし」の思想 
「存在のエポケー」と差延
① 差延と存在論的差異
「存在の真理」の道を通り抜ける
② 痕跡と形而上学のテクスト──痕跡の抹消の痕跡
③ 形而上学の外部と「差延」という名称──存在の「手中」からこぼれ落ちるもの
「本来的」な翻訳?
ノスタルジーを超えた肯定/ロゴス中心主義
小括 ④
総括・解説の終わりに
参考文献(日本語訳文献のみ)

第Ⅱ部 討 論
研究活動の総括としての「差延」講演
否定神学の神だなんてとんでもありません……
人間の消失
人間の死
マラルメが実践する断絶を参照
差延の思想を練り上げるために
新しい哲学の登場
差延と弁証法との親近な関係
両義的なテクスト
沈黙が雄弁に物語る
「差延」の前提にある「差異」
神秘主義の罠を斥けるために/中動態を喚起しながらも……
否定神学に見えてしまうテクスト
不親切、大雑把、中途半端、乱暴……
初期デリダの可能性が集約された論文
「差延」以後への示唆
保留され、発展することのかかった問題
哲学者として認めてほしかったデリダ
戦略的につくられたテクスト
あえて形而上学的な言葉で……
デリダの議論は何を構造化しているか
力動的にみずからを構成しつつ、分割する間隔
五つのアスペクトで考える
「差延」のエコノミックな関係
率直さと、留保をかける慎重さの緊張関係
翻訳者の課題
デリダの入門書は何を読めばいいか
哲学的エリートの中で
二項対立の脱構築
デリダのドゥルーズへの評価
「事後性」について
サイバネティクスの問題系
言語学モデルをいかに拡張するのか
到来するもの
ハイデガーから引き継ぐ問題
誤配
散種
歴史からこぼれ落ちる残余
ノスタルジー
デリダがニーチェに見出したもの
過去にこだわりつづけ、未来の出来事を呼び込む
結局デリダは何がしたかったのか
後期デリダがコミットした問題
哲学的共同体は存在しうるか
アンガージュマン
「戦略」と「交渉」
マルクス主義的革命論との距離


◆著者プロフィール
森脇透青 もりわき・とうせい=京都大学大学院文学研究科在学中(日本学術振興会特別研究員DC2)。現代フランス哲学・美学。批評家。現在、ジャック・デリダに関する博士論文を執筆中。一九九五年生。

西山雄二 にしやま・ゆうじ=東京都立大学人文社会学部教授。二〇世紀フランス思想・文学。一橋大学大学院言語社会研究科博士課程修了。博士。著書に『異議申し立てとしての文学』。一九七一年生。

宮﨑裕助 みやざき・ゆうすけ=専修大学文学部教授。哲学・現代思想。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程修了。博士(学術)。著書に『ジャック・デリダ──死後の生を与える』ほか。一九七四年生。

ダリン・テネフ テネフ,ダリン=ブルガリア・ソフィア大学文学部准教授。文学理論、比較文学。博士。著書(ブルガリア語)に『逸脱――ジャック・デリダについて』。一九七八年生。

小川歩人 おがわ・あゆと=大阪大学国際共創大学院学位プログラム推進機構特任講師。二〇世紀フランス思想。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。共訳書に『生死(ジャック・デリダ講義録)』。一九九二年生。

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