2025/11/07号 8面

四ツ谷一族の家系図

著者から読者へ=『四ツ谷一族の家系図』(沼堂幼太郎)
著者から読者へ 沼堂 幼太郎  私の名前は沼堂幼太郎といいます。この度『四ツ谷一族の家系図』という本を書きました。この本は怖い話ですが、とても面白いです。あらすじを説明します。私の友だちに四ツ谷武尊という人がいます。彼のおじいさんの家にある仏壇から、おかしな古文書が見つかりました。昔から四ツ谷家に伝わっているものだと思いました。私は歴史に詳しいので、四ツ谷家の歴史を調べる手伝いをすることにしました。四ツ谷家はかなり前にK島という離島から東京にやって来ました。なので、私と武尊はK島に行ってみることにしました。島に行ってみると、海毛虫という気味の悪い生き物がいっぱいいました。あと、四ツ谷の家は嫌われているのだなと感じました。こんなことを言ってはいけないのだと思いますが、きっと四ツ谷家は島で「よくないこと」をしたのだと思います。私は「もう調べない方が良いよ」と注意しましたが、武尊は言うことを聞きませんでした。そのせいで、おかしなことが起きるようになりました。そういうお話です。  さて、察しの良い方は既にお気づきかもしれないが、本作は昨今では広く読書人に認知されるようになったホラー小説の一大ジャンルである、所謂「モキュメンタリー」の一種である。ノンフィクションの態をとった断片的な情報を幾重にも積み重ねる手法によって、読者自身の想像力そのものによって物語が立ち上がることを期待している。手前味噌ではあるが、私は医療・歴史・民俗学・犯罪史をはじめとする諸分野の書物を横断的に渉猟することで、圧倒的に重厚な世界観を構築することに成功したと自負している。「鶏群の一鶴をなす」と表現してしまえば、博識な読者諸兄には鼻で笑われてしまうだろうか。でも、本当のことを言えば、みんなが面白がってくれるかという心配の気持ちもあります。自信があるからといって、絶対に褒められるわけではないからです。さても、どこまでも原稿の手直しを続けたくなるのは、作品に思いを込める物書きの涙ぐましい性だ。そのうえで肝要なのは、後ろ髪引かれる思いを断ち切る決断力。無常にも本書が親元を離れて全国の書店に配本された以上、筆者である私は晴れ晴れとした気持ちで、江湖の評価を待つべき段にいる。事象はすでに起こってしまった。ミネルヴァの梟は黄昏に飛び立つのだ。YouTubeとTikTokもやっているので、チャンネル登録&高評価お願いします!!!(ぬまどう・ようたろう=文筆家)

書籍

書籍名 四ツ谷一族の家系図
ISBN13 9784813795056