二〇五〇年の冷凍人間の朝
主人公白州周平は、日本人に最も多く見られる癌を罹う。2009年を待って、五十八歳で自らを冷凍療法の実験台に身を投じる。周平が冷凍された後、渡米した京子夫人は、夫の周平より五年遅れた五十六歳で奇しくもまた冷凍術を米国で受ける。それから四十一年経った2050年に、二人の冷凍が解除されるが、その冷凍下にサキトロンレーザー光線により夫婦の癌が全治される。二十世紀の科学を考えると奇跡ともいえることが起こったのである。白州夫妻が冷凍状態の眠りから醒めた時は、息子夫妻は六十四歳と六十二歳になっており、冷凍により五十八歳と五十六歳の年齢で止った両親よりも老いて、自分たちより若い両親と息子夫妻は再会することになる。癌を癒された周平は、神への感謝から、再びヒマラヤを仰ぐネパールに赴任し、そこでは永遠の命を信じようとするネパールの人々のために伝道を始める。最先端医療が考える、2050年の現実に、人間が託すべき未来は、本当にあるか。
著者 | 平山峻 |
出版元 | 青娥書房 |
頁数 | 189頁 |
発行日 | 1999-06 |
ISBN13 | 9784790601821 |
ISBN10 | 479060182X |