批評という鬱

文芸批評において活躍する著者が長年熟成させてきたテーマである「近代的自我論=主体性論」批判を軸に、近年の主要論考を集成する力作論集。人間そして文学の歴史を自我の発達の歴史であるかのように捉えることを批判し、進歩史的時間意識を病いあるいは神話として斥ける緊密な議論を展開。全体に通底するものは、時代を越える人間的普遍、人間的な感動を生み出すものへの強い関心である。本書のために書下ろされ、タイトルを書名にも冠した渾身の吉本隆明論200枚は著者の到達点を示す注目の力作。
著者 三浦雅士
出版元 岩波書店
頁数 300頁
発行日 2001-09-14

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