修辞的モダニズム

“テクスト様式論”とは、様式論の方法を、ロラン・バルトの「作品からテクストへ」の方向に従って展開した、様式論の拡張である。伝統的な様式論が、様式を超越的な作者による芸術意志の表現と見なしてきたのに対し、“テクスト様式論”は、テクストの肌理としての文体やレトリックに徹底的に拘泥する。本書は、そのような“レトリック分析”の手法を用いて、“モダニズム文芸”を対象とし、読者が各自のフレームに基づいてテクストに対応した軌跡を記述するという文芸受容本来のあり方に、汲み尽くせぬ可能性を認める試みである。
著者 中村三春
出版元 ひつじ書房
頁数 340頁
発行日 2006-05

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