ドクター・ハック
1936年2月8日、神戸港に降り立った日独合作映画の撮影隊一行に、一人の英国紳士風の男が混じっていた。その名はフリードリッヒ・ハック。皆からドクター・ハックと呼ばれた人物である。彼の職業はドイツの軍用飛行機や船舶、それらの関連技術の輸入に携わる日本海軍および陸軍のエージェント。訪日の目的は、本来のビジネスに加えて、日独合作映画の下打ち合わせ、さらにはヒトラーの側近リッベントロップとベルリン日本陸軍駐在武官・大島浩の間で進んでいた外交交渉に関わる密命を帯びていた―。ナチスと日本を結びつけた十字架を背負い、日米間の終戦工作を担ったドイツ人スパイ。女優・原節子誕生にも立ち会った、その謎に満ちた生涯。
著者 | 池内紀 |
出版元 | 平凡社 |
頁数 | 341頁 |
発行日 | 2015 |
ISBN13 | 9784582836806 |
ISBN10 | 4582836801 |