アフリカの難民キャンプで暮らす

自身の目で我々の生活をよく見てくれ。
そして我々の声を聞いてくれ。

すべては「生」の「声」からー

本書の舞台は、西アフリカのガーナにあるブジュブラム難民キャンプ。ここでは内戦によって祖国リベリアを追われた難民が20年近い歳月を過ごしてきた。
ガーナの西、国をひとつ挟んだところに位置するリベリア共和国は、1847年にアメリカ合衆国の解放奴隷を入植させるため建国された。先進国からやってきた解放奴隷たちと先住民族との間に軋轢は絶えず、1989年から始まった内戦は「現代アフリカ史上最も凄惨な紛争」と言われる。
14年間に及んだ内戦は、2003年に停戦合意が結ばれ表面上は終結する。が、ブジュブラム・キャンプには、今なお祖国に帰還できない人々が暮らしている。
彼らは「忘れられた難民たち」と呼ばれる。
難民問題は現代社会が直面する最も深刻な「グローバル・イシュー」のひとつだ。
難民についてよりよく理解するということは、私たちが生きる現代社会を考えるうえで必須の作業であるはずだ。
著者は2008年7月から2009年9月までの401日間をキャンプに暮らし、経済活動をテーマに難民たちの日常生活を追った。それにより書き上げた論文は高い評価を得るが、より鮮明に残ったものは、そこに生きる難民たちの「顔」と「声」が織りなす「物語」だった。ひとりの人間として、彼らの隣人としての筆致でそれを描く。
終盤に明かされるの意味することは深い。
著者 小俣直彦
出版元 こぶな書店
頁数 294頁
発行日 2019-06
ISBN13 9784991084201
ISBN10 4991084202

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