奇蹟と痙攣
1727年5月1日、パリの貧民街にあるサン=メダール教会で清貧を貫いたジャンセニストの助祭パリスが息を引き取る。だが、それは単なる助祭の死ではなかった。以後、その教会墓地でおびただしい奇蹟的快癒が生まれるようになった。教皇権と王権、さらにイエズス会に抗するジャンセニズムを背景とし、民衆的なメシアニズムを表象する一連の奇蹟の生態系から、やがて「痙攣派」とよばれる多数の信仰集団が登場する―。本書は、パリスの死以後、快癒者みずからが証言・署名した奇蹟体験の膨大な報告書と、奇蹟の真偽や「痙攣派」を巡る攻防の一次史料を詳細に読み解き、フランス近代における「民衆的イマジネール」の動態を描きだした歴史人類学、書き下ろしの大著である。
著者 | 蔵持不三也 |
出版元 | 言叢社 |
頁数 | 598頁 |
発行日 | 2019-09 |
ISBN13 | 9784862090744 |
ISBN10 | 4862090745 |