三島由紀夫薔薇のバロキスム
内面と外面、精神と肉体、美しい無智者と醜い智者といった対比、作品を豊かに彩る植物的イメージを自在に横断しながら、それらすべてが壮絶な自死へと収束されていく過程を詳らかにする、スリリングかつ斬新な三島論。文庫書き下ろし!===内と外という二元論を危うくする薔薇の花弁、腹からこぼれ出る腸の美しさ──皮膚や表層にこだわり続けてきた美学者である著者は、「内部へ出る」ことにより逆説的に肯定される表面にこそ、三島独自の美意識すなわちバロキスムが賭けられていると見る。薔薇や松をはじめ作品を彩るさまざまな植物的イメージに注目しつつ、『憂国』、『豊饒の海』などのテキストにわけ入り、自死への過程をまったく新たな視点で解き明かす、珠玉の三島論。文庫書き下ろし!===スリリングかつ斬新!独自の美意識をその死から逆照射するちくま文庫オリジナル===【目次】序昭和四十五年十一月二十五日 I 映画『憂国』と音楽 II 外面と内面 III ヘレニズム・バロックIV 薔薇狂いV 薔薇のバロキスムVI 美しい無智者と醜い智者VII 肉体の論理とその逆説 VIII 「存在の劇」 谷崎潤一郎VS三島由紀夫 IX 死の太陽X 三島由紀夫のフローラ XI 松へのこだわりXII 死の様式XIII 「動態」としての文化とその座標軸XIV 庭と海結 「お祝いには赤い薔薇を」 あとがき
著者 | 谷川渥 |
出版元 | 筑摩書房 |
頁数 | 256頁 |
発行日 | 2023-05 |
ISBN13 | 9784480511805 |
ISBN10 | 4480511806 |