偽薬のミステリー

メリケン粉や砂糖水でも病気が治ってしまう―「プラセボ(偽薬)効果」とはいったい何か。これまで医療関係者は、痛みや発熱、不安や不眠、高血圧やがんなど、ありとあらゆる病気の症状にプラセボ効果があることを見てきたし、新薬のテストでは必ず偽薬を使うことで、その効能を比較・対照してきた。しかし、プラセボ効果を公然と口にすることは、医学を貶めることにつながりかねないとタブー視され、触れてはいけない「聖域」とされてきたのだ。本書は、フランスの精神科医が、さまざまな調査にもとづき、プラセボ効果がいかに医療全般に広がっているかを明らかにする。また、この現象が、医者と患者の絆と信頼性に強く依存することを見ていき、医者も患者も、プラセボ効果を恐れず、もっと積極的に利用する道がないか探れよ、と訴える。「薬の大量消費」に警告を促す書でもある。
著者 パトリック・ルモワンヌ
出版元 紀伊國屋書店
頁数 286頁
発行日 2005-08
ISBN13 9784314009911
ISBN10 4314009918

関連記事