
井伏鱒二
★いぶせ・ますじ=作家。
一八九八(明治三一)年二月広島県生まれ。最初は画家を志したが、早稲田大学仏文科を中退し、小説に転じた。昭和初期までに「山椒魚」「屋根の上のサワン」「鯉」などを発表するも、あまり注目を集めなかったが、後年では評価の高い作品となった。一九三七年『ジョン万次郎漂流記』で第六回直木賞を受賞し、文壇の評価も定まった。
自然に滲み出るユーモアとかなしみといった独自の作風を身につけ、その後一貫してきた。また、若いころからの作品に対して不断に手を入れ改稿をつづけていたのもこの作家の特徴といえる。
主な著書に『本日休診』『駅前旅館』『漂民宇三郎』『鞆ノ津茶会記』『雞肋集』『荻窪風土記』、『井伏鱒二自選全集』(全一二巻)など。
本紙で掲載した井伏作品の書評として、 永井龍男氏による『河鹿』、庄野潤三氏による『無心状』、伊馬春部氏による『くるみが丘』、など。