お知らせ
【What’s New!】週刊読書人2025年9月5日号


【特集】
対談=内海 健・檜垣立哉
<変わる時代の「臨床哲学」の思想>
『精神医学と哲学のあいだ 木村敏が考えたこと』(創元社)刊行を機に
【本紙イントロより】
精神病理学者の木村敏氏が2021年に逝去して4年。木村氏の「臨床哲学」の思想を次代に継ぐ論集『精神医学と哲学のあいだ 木村敏が考えたこと』(創元社)が上梓された。芝伸太郎・野家啓一の両氏が編著者となり、深尾憲二朗・谷徹・野間俊一・檜垣立哉・内海健の各氏を著者に迎えた本書は、木村精神病理学の入門にしてその発展を目指す書だ。刊行を機に、著者の内海健氏・檜垣立哉氏に対談をお願いした。(編集部)
【編集室から】
精神疾患が時代と共に変化する、というのは有名な話です。それは例えば、かつて狐憑きと呼ばれていた現象の名が今は解離症になった、というのに留まりません。確かに「狐憑き」と同様、患者は別人として振舞いますが、その振舞い方は文化的な影響を受ける。精神の変調は、時代と共に人の心の形が変わると、その現象形態そのものも変えてしまうわけです。
木村敏の理論も、ある面ではそうした時代の変化の影響を免れえないということが、今回の対談で明瞭になったことでした。しかし、木村理論の要諦が、あくまでも「患者理解」に置かれていたということが重要でしょう。木村敏の思想は、了解を絶するような異質な他者を、それでも「同じ人間」だと理解するための重要な足掛かりとして、意義を失っていないのだと感じます。 (K)
【今週の読物】
▽「芥川賞について話をしよう」第28弾(小谷野敦・倉本さおり)(8)
▽論潮・9月(高木駿)(3)
▽文芸・9月(山田昭子)(5)
◇連載=「ベルイマンの〝映画表現法〟」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)404(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=〈書評キャンパス〉仲野太賀・阿部裕介・上出遼平『MIDNIGHT PIZZA CLUB』(黒岩朱)(5)
◇連載=「読書人を全部読む!」5(山本貴光)(6)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側 705(横尾忠則)(7)
◇連載=百人一瞬 Crossover Moments In mylife 77・シャンカル・ヴェンカテーシュワラン(小林康夫)(7)
◇連載=American Picture Book Review 100(堂本かおる)(7)
【今週の書評】
〈3面〉
▽池本幸生著『不正義の克服』(後藤玲子)
▽泉徳治著『最高裁判所と憲法』(矢沢久純)
〈4面〉
▽張玉玲著『日本の福清出身華僑の生活誌』(飯島典子)
▽村岡美奈著『ジェイコブ・H・シフ』(原田 泰)
▽苫米地英一著『ヴェルディ レクイエムはこうして生まれた』(萩原里香)
〈5面〉
▽大江健三郎著『光と音楽』(富岡幸一郎)
▽森岡伸著『ウォルター・ペイターを読む』(上村盛人)
〈6面〉
▽坂田幸子編訳『尼僧少尉カタリーナ・デ・エラウソ』(岡本淳子)
▽大川真郎著『よみがえる美しい島』(川尻剛士)
▽國友公司著『ワイルドサイド漂流記』(武岡 暢)