お知らせ
【What’s New!】週刊読書人2025年9月26日号


【特集】
対談=新田 啓子 × 大串 尚代
<命を奪わない戦略文化を求めて>
新田啓子著『セキュリティの共和国』(講談社)刊行を機に
【本紙イントロより】
新田啓子さん(立教大学文学部教授)が『セキュリティの共和国 戦略文化とアメリカ文学』(講談社)を上梓した。ポー、メルヴィル、トウェイン、ヘンリー・ジェイムズなどの文学作品を手がかりに、アメリカという国家の「セキュリティ」や「戦略文化」を読み解いていく。刊行を機に、大串尚代さん(慶應義塾大学文学部教授)と対談をお願いした。 (編集部)
【編集室から】
「私は私を守りたかった」に基づく自衛という名の戦略文化には、必ず暴力の陰がある。その暴力のスイッチを押さないために、自衛を諦めればいいのか。当然、話はそう簡単ではない。お二人が語るように、制御を諦めた瞬間、その力は自分に向かってきてしまうからだ。「無気力は非暴力ではなく、自らへの暴力を誘発する」という新田さんの指摘が重く響く。自他を傷つけず、命を奪わない戦略文化など不可能だと思考を放棄することも、結末は同じ。では、どうすればいいのか。ここで重要になるのが、「読みのリテラシー」だろう。虚構を読み、答えの分からない問いを考え続ける。暴力のスイッチを回避する一番の方法である。(N)
【今週の読物】
▽アメリカ文学・研究書特集(7) →特設サイトも公開中!
◇連載=「サミュエル・フラーとニコラス・レイ」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)407(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=〈書評キャンパス〉北村薫『空飛ぶ馬』(正木照乃)(5)
◇連載=「読書人を全部読む!」7(山本貴光)(6)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側 708(横尾忠則)(8)
◇連載=百人一瞬 Crossover Moments In mylife 80・一柳慧(小林康夫)(8)
◇連載=戯史 平成紀〈九月〉(安倍夜郎)(8)
【今週の書評】
〈3面〉
▽入不二基義著『現実性の極北』(青山拓央)
▽稲垣健志編著『内灘闘争のカルチュラル・スタディーズ(丸川哲史)
▽太田昌国著『ボリビア・ウカマウ映画伴走50年』(本橋哲也)
〈4面〉
▽権代美重子著『江戸の食商い』(川添 裕)
▽フリードリヒ・クリストフ・エーティンガー著『自伝』(佐藤貴史)
▽福留真紀著『徳川将軍の側近たち』(滝口正哉)
〈5面〉
▽クロード・シモン著『綱渡り』(林 浩平)
▽橋本紘樹著『戦後ドイツと知識人』(初見 基)
〈6面〉
▽鶴園裕基著『「人の移動」の国際政治』(李 英美)
▽タナハシ・コーツ著『なぜ書くのか』(細田和江)
▽宮本隆司著『本気にすることができない渋谷』(タカザワケンジ)