お知らせ
【What’s New!】週刊読書人2025年11月21日号

【特集】
対談=原島大輔×伊勢康平
<新たな「宇宙技芸」を発明するために>
ユク・ホイ著『ポストヨーロッパ』(岩波書店)刊行を機に
【本紙イントロより】
いま世界的に注目される、香港出身の哲学者ユク・ホイ氏の新刊『ポストヨーロッパ』(岩波書店)が、原島大輔氏の訳で出版された。惑星を覆う技術文明の行き詰まりと「哲学の終わり」を打破するには、私たちの思考や存在を規定するテクノロジーを省察し、非ヨーロッパ的な思考や技術との緊張関係から「思考の個体化」を成し遂げる必要があると論じた書だ。
本書の刊行を機に、訳者の原島氏と、既刊『中国における技術への問い』(ゲンロン)などを邦訳した伊勢康平氏に対談をお願いし、ホイ氏の思想の内実と射程について議論していただいた。(編集部)
【編集室から】
ユク・ホイ氏は、対談で指摘されたように、ハイデガーからの強い影響下にある思想家です。ハイデガーがこだわった古代ギリシア的な「存在」観を突き崩すものとして、ホイ氏の「技術多様性」は、存在論の領野においても最前線を行くものです。
しかし同時に、欧州のテクノロジーが覇権を握ったのも、「力への意志」による必然なのではないかという疑問も湧きます。優勝劣敗の原理や力への意志は、欧州を超えて普遍的なのか……。本書の射程を越えて〝多様〟な思索をも開く、刺激的な対談でした。(K)
【今週の読物】
▽対談=清原悠×野中モモ 『自由への終わりなき模索』(ころから)刊行を機に(8)
▽丸川氏再反論(10月17日号)への応答(大杉重男)(3)
◇連載=「重要なのは自らの映像を見出すこと」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)415(聞き手=久保宏樹) (5)
◇連載=〈書評キャンパス〉武田綾乃『愛されなくても別に』(佐藤葵)(5)
◇連載=「読書人を全部読む!」15(山本貴光)(6)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側 716(横尾忠則)(7)
◇連載=百人一瞬 Crossover Moments In mylife 88 芥正彦(小林康夫)(7)
◇連載=戯史 平成紀〈十一月〉(安倍夜郎)(7)
【今週の書評】
〈3面〉
▽マルチェロ・ムスト編著『マルクス・リバイバル』 (石川康宏)
▽マシュー・D・ハケネス著『マルティン・ニーメラー』(佐野 誠)
〈4面〉
▽押川典昭著『プラムディヤ・アナンタ・トゥールとその時代 上・下』(福武慎太郎)
▽鈴木一人著『地経学とは何か』(片岡剛士)
▽木村美幸著『海軍へ志願せよ』(木村 聡)
〈5面〉
▽サイディヤ・ハートマン著『奔放な生、うつくしい実験』(矢澤美佐紀)
▽谷崎由依著『百日と無限の夜』(泉谷 瞬)
▽張競著『厨川白村』(千葉一幹)
〈6面〉
▽春日武彦著『自滅帳』(秋草俊一郎)
▽藤井淑禎著『松本清張と水上勉』(酒井 信)
▽中村拓哉著『日本語ラップ』(パンス)
