お知らせ
【What’s New!】週刊読書人2024年5月10日号
【特集】
斎藤哲也インタビュー
「核心」と「面白さ」を伝える「聞き書き哲学史」
『哲学史入門Ⅰ古代ギリシアからルネサンスまで』(NHK出版新書)刊行を機に
【本紙イントロより】
この春、哲学研究の第一人者への「聞き書き」で、哲学史の「核心」と「面白さ」を伝える新シリーズ『哲学史入門』(NHK出版新書)が刊行開始された。全三巻で「西洋哲学史の大きな見取り図を示す」本シリーズの第一巻は、古代ギリシア哲学、中世哲学からルネサンス思想、第二巻(五月刊行)はデカルトからドイツ観念論までの近代哲学、第三巻(六月刊行)は二〇世紀の現代思想・哲学が中心に取り上げられる。本シリーズを企画した人文ライター・編集者の斎藤哲也さんにお話を伺った。インタビューではNHK出版編集部・山北健司編集長にもお話に加わっていただいた。(編集部)
NHK出版新書の新シリーズ『哲学史入門』は、全3巻で西洋哲学史の大きな見取り図を示すというもの。古代ギリシア哲学から現代思想まで、哲学研究の第一人者へのインタビューで哲学史のダイナミックな流れをつかむ。聞き手を務めるのは、人文思想のわかりやすい解説に定評がある斎藤哲也さん。勘所を押さえた的確な質問と話し言葉でテンポ良く進むインタビューはわかりやすいのに本格&本質的、ライヴ感満載でしかも面白い!
『哲学史入門Ⅰ』では、古代ギリシアからルネサンスまでを扱う。序章「哲学史をいかに学ぶか」は千葉雅也さん、第一章「哲学の起源を問う 古代ギリシア・ローマの哲学」は納富信留さん、第二章「哲学と神学はいかに結びついたか 中世哲学の世界」は山内志朗さん、第三章「ルネサンス哲学の核心 新しい人間観へ」は伊藤博明さんが登壇。さながら豪華著者陣による哲学史入門連続講義だ。
驚くのはその行き届いた構成で、哲学史に入門する前の準備運動のような序章に続き、各章の前には斎藤さんによるイントロダクションが配され、それぞれの章の基礎知識や登場人物、読みどころが示される。章末には、各論者による自著解説や推薦本のブックガイド付き(講義の後は、「先生何読めばいいですか?」と聞きたくなりますよね)。
斎藤さんへの取材で印象的だったのは、「大学生のときにこんな本を読みたかった」という言葉だった。「当時、こういう本があったらもう少しワクワクして学べたんじゃないか」。
この哲学史入門シリーズで斎藤さんは、日本各地の哲学研究者を訪ねてインタビューしたそうだ。「インタビューは掛け値なしに楽しかった」と目を輝かせた。
「哲学者を訪ねる旅」ってなんだか豊かでいい。新たなサイドストーリーも生まれそうだ。
語り手の熱量も聞き手の喜びも、学ぶ楽しさが伝わる本シリーズ。哲学に苦手意識のある方も是非読んでみてほしい。5月10日には第2巻も刊行される。全3巻、一緒に完走しましょう!(T)
【今週の読物】
▽追悼・鳥山明(渡辺範明)(2)
▽論潮〈5月〉(橋爪大輝)(3)
▽文芸〈5月〉(柿内正午)(5)
▽著者から読者へ『「日本政治の謎」 徳川モデルを捨てきれない日本人【新装版】』(猪口孝)(8)
◇連載=「J・リヴェットのこと」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=〈書評キャンパス〉鷲田清一『「待つ」ということ』(猪股栞凪)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側(横尾忠則)(7)
◇連載=American Picture Book Review(堂本かおる)(7)
◇連載=百人一瞬 Crossover Moments In mylife⑭・ジャック・シラク(小林康夫)(7)
◇連載=ニュー・エイジ登場『バーナード・ウィリアムズの哲学』(渡辺一樹)(8)
【今週の書評】
〈3面〉
▽海老坂武著『生きるということ』(塩川徹也)
▽風元正著『江藤淳はいかに「戦後」と闘ったのか』 (先崎彰容)
〈4面〉
▽古松崇志著『ユーラシア東方の多極共存時代』 (関 智英)
▽前野清太朗著『「現代村落」のエスノグラフィ』 (石井大一朗)
▽根岸貴哉著『野球のメディア論』(鈴村裕輔)
〈5面〉
▽アンナ・カヴァン著『眠りの館』(かげはら史帆)
▽甲田直美著『物語の言語学』(阿部 宏)
〈6面〉
▽福田安佐子著『ゾンビの美学』(小原文衛)
▽アンナ・アスラニアン著『生と死を分ける翻訳』(宮川 創)
▽日高良祐編著『シティ・ポップ文化論』(パンス)