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【What’s New!】週刊読書人2024年6月21日号

【What’s New!】週刊読書人2024年6月21日号

【特集】
追悼 唐 十郎
インタビュー麿 赤兒(聞き手=鴻 英良)
全身演劇人 唐 十郎の遺産

【本紙イントロより】

 劇作家、演出家、俳優、小説家の唐十郎さんが五月四日に亡くなった。八四歳だった。一九六〇年代、アングラ演劇の旗手として登場。六三年、既成の演劇に反旗を翻す「シチュエーションの会」(六四年「状況劇場」に改名)を旗揚げ。六〇年代、七〇年代の学生運動と相まって若者に熱狂的に支持され時代の寵児となった。八八年「状況劇場」を解散し、「劇団唐組」を結成。座長として紅テントでの上演を続けた。
 小紙では、六〇年代に唐さんと出会い、「状況劇場」設立から行動を共にした、舞踏家で大駱駝艦主宰の麿赤兒さんに、唐十郎さんという稀代の才能とその仕事、演劇界のみならず社会に与えた影響など、当時を振り返り、語っていただいた。聞き手は演劇研究者の鴻英良氏。(編集部)


 

 神保町の猿楽町付近を歩いていて、紅テントを見かけたのは昨秋のこと。まさに、日常の風景に突如出現した異界でハッとした。ここで公演してるんだ!と思いながらそのときは観に行くことが出来なかった。唐十郎さんの訃報を知り、そのことを思い出した。

 雑司が谷・鬼子母神の紅テントの前にはすでに長い行列が出来ていた。劇団員の誘導でテントの中へ。桟敷席はぎっしりで思いのほか若い人が多い。お隣同士場所を譲り合って「ここまだ入れます!」の声も上がる。芝居が始まれば、舞台の役者も桟敷席の観客も一体となって芝居を作り上げる。まさに一夜の幻影のような劇的体験だ。久しぶりに思い切りテント芝居を楽しんだ。

 麿赤兒さんへのインタビューは吉祥寺の大駱駝艦の稽古場で行われた(インタビュアーは演劇研究者の鴻英良さん)。外から地下の稽古場へ通じる階段を降りてこられた麿さんは巨大で真っ黒なシルエット、まさに怪人現るの風情だった。伝説の「状況劇場」の看板役者だった麿さんにお目にかかるとあって緊張していたが、話し始めるとなんとも柔らかく自然体で、話の面白さにすぐに引き込まれた。唐十郎さんと同じ時代を生き、過激に走り抜けた麿赤兒さんだからこそ語れるエピソードは、紙面で是非お読みいただきたい。

 演劇を愛し演劇に愛された唐十郎さん、紅テントよ、永遠なれ。


【今週の読物】

▽『あぶない刑事インタビューズ「核心」』/『麻雀漫画50年史』刊行記念対談(高鳥都・V林田)(8)


◇連載=「真実を虚構のようにして語ること」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=〈書評キャンパス〉綾崎隼『それを世界と言うんだね』(朱雅蘭)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側(横尾忠則)(7)
◇連載=百人一瞬 Crossover Moments In mylife⑲・唐十郎(小林康夫)(7)
◇連載=戯史 平成紀〈六月〉(安倍夜郎)(7)

【今週の書評】

 〈3面〉
▽細谷雄一・板橋拓己編著『民主主義は甦るのか?』 (山本 圭)
▽落合功著『ちょっと深掘り 日本金融史』 (熊倉修一)
▽鈴木亘著『声なきものの声を聴く』(小林成彬)
 〈4面〉
▽奥健太郎/清水唯一朗/濱本真輔編著『政務調査会と日本の政党政治』(十河和貴)
▽上野大輔/清水光明/三ツ松誠/吉村雅美編『日本近世史入門』(山本 渉)
▽山本文彦著『神聖ローマ帝国』(鈴木楠緒子)
 〈5面〉
▽阪本佳郎著『シュテファン・バチウ』(管啓次郎)
▽山本浩貴著『新たな距離』(柿内正午)
▽山野辺太郎著『恐竜時代が終わらない』
 (九螺ささら)
 〈6面〉
▽佐々木敦著『「教授」と呼ばれた男』(土佐有明)
▽山口淳著『軍都久留米』(武正泰史)
▽星野博美著『馬の惑星』(西野智紀)

ベストセレクション【唐十郎】発売開始

過去60年間の読書人で特集・掲載された唐十郎氏の対談や記事をパッケージにして販売いたします。

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