お知らせ
【What’s New!】週刊読書人2024年9月20日号
【特集】
対談=前嶋和弘×三牧聖子
〈弱い×弱い〉候補同士の米大統領選
2024年アメリカ大統領選の展望を分析する
【本紙イントロより】
8月の米・民主党の全国党大会でカマラ・ハリス副大統領が正式に大統領候補に指名され、11月の米大統領選で共和党大統領候補のドナルド・トランプと大統領の座を争うことが決まった。
今後、両候補はどのような選挙戦を展開していくのか。上智大学教授でアメリカ学会前会長の前嶋和弘氏と、同志社大学大学院准教授の三牧聖子氏に、今後の展望を分析してもらった。本紙2月23日号掲載の「「分断」と「拮抗」の米国政治最前線」に続く米大統領選特集の第2弾。(編集部)
今年の2月にお届けしたアメリカ大統領選特集(2月23日号「「分断」と「拮抗」の米国政治最前線」/対談=前嶋和弘×渡瀬裕哉)の第二弾で、前回に続き今回も前嶋さんにご登場いただき、お相手に各メディアで引っぱりだこの三牧聖子さんをお招きして、前回とは違った切り口でお話してもらいました。
2月時点では「もしトラ」の機運がかなり高まっていたこともあり、現在の共和党にフォーカスを当てつつ、大統領選の展望を聞きました。今回対談を行ったのは民主党全国党大会の直後、つまりカマラ・ハリス副大統領が正式に指名受諾を受けたタイミングでした。異例の禅譲劇とアメリカ初の黒人女性大統領誕生への期待も重なり、民主党への注目度が俄然高まっているので、今回は民主党、特にハリス候補が今後どのような選挙戦を戦っていくのか、その一挙手一投足に焦点を当てています。
まず、タイトルに<弱い×弱い>と付けました。どういうことか。実は両党の候補の見立てについて、2月の対談時点から前嶋さんの見解は大きく変わっていません。ハリスになって様相がガラッと変わったと巷間言われますが、実際はそうでないことを改めて解説してもらいました。
また、先日トランプ対ハリスのTV討論会が行われたことで、討論会でどっちが勝ったかどうかに注目が集まりがちですが、本質はそこではないことも今回の対談をお読みいただくと見えてくると思います。今回の対談でかなり深堀りして話し合われたのはアメリカの対イスラエル政策、つまりアメリカがイスラエル・パレスチナ問題をどう考えているか、ということです。近い将来、アメリカ政治に禍根を残しかねないファクターであるにも関わらず、あまり焦点が当たらない。ここの部分を巡る二人の議論は必見です。
今回の対談も勝敗予想は一切ありません。ただ、選挙後に何が起こるかかなり具体的な展望をお話いただいています。そしてその内容は先日(9月15日)トランプ候補が銃撃されたことで、さらに蓋然性を増しているともいえます。今のアメリカ政治を考える上で必読の内容となっていますので、ぜひご一読ください。(編集部峰岸)
【今週の読物】
▽『日本史の現在』全六巻(山川出版社)刊行記念(高橋典幸×山口輝臣) (8)
◇連載=「戦後の世界各国の映画の状況」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)360(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=〈書評キャンパス〉青山美智子『お探し物は図書室まで』(佐藤葵)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側 658(横尾忠則)(7)
◇連載=百人一瞬 Crossover Moments In mylife 32 ・中野幹隆(小林康夫)(7)
◇連載=戯史 平成紀〈九月〉(安倍夜郎)(7)
【今週の書評】
【今週の書評】
〈3面〉
▽ジャン=リュック・メランション著『共同の未来』(深澤民司)
▽佐々木夏子著『パリと五輪』(小笠原博毅)
▽スタンリー・カヴェル著『理性の呼び声』(小手川正二郎)
〈4面〉
▽ルイ・サラ=モランス著『黒人法典』(大嶋えり子)
▽平野貴大著『シーア派』(阿部 哲)
▽北野秋男編集・解題『戦後学力テスト研究資料集』(金馬国晴)
〈5面〉
▽ピエール・ルメートル著『邪悪なる大蛇』(古山裕樹)
▽チョ・ナムジュ著『ソヨンドン物語』(竹田信弥)
▽松下隆志著『ロシア文学の怪物たち』(鴻 英良)
〈6面〉
▽牧野宏美著『春を売るひと』(人見佐知子)
▽ジョシュア・ハマー著『ハヤブサを盗んだ男』(緑 慎也)
▽上脇博之著『検証 政治とカネ』(永田浩三)