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【What’s New!】週刊読書人2024年10月11日号

【What’s New!】週刊読書人2024年10月11日号

【特集】
巽孝之・新元良一対談
2024アメリカ文学案内
NY最新リポート 2024 アメリカ文学ベスト20

【本紙イントロより】 

 21世紀も間もなく四半世紀を迎えようとしている。アメリカの命運を左右する米大統領選を目前に控えた現時点のアメリカで、アメリカ文学を語るとしたらどう語るのか。現在、ニューヨークにおられる巽孝之さん(慶應義塾大学文学部名誉教授/慶應義塾NY学院学院長)と新元良一さん(作家、リセ・ケネディ日本人学校校長)に、白熱する選挙直前の空気感とともに、9月にニューヨーク・タイムズで発表された「21世紀の本ベスト100」などを手掛かりにそれぞれの「2024アメリカ文学ベスト20」(2面)を挙げていただき、今のアメリカを文学で読み解く対談をお願いした。全文は読書人WEBで公開。(編集部)


取材は9月16日、その前日の15日にトランプ候補の2度目の暗殺未遂事件が発生するという緊張感の中、ニューヨークにおられる巽孝之さんと新元良一さんにお話を伺った。

語っていただく手がかりは、ニューヨーク・タイムズで発表された「21世紀の世界文学ベスト100」と「読者が選ぶ本ベスト100」。リストを参考にリスト以外からも、邦訳未訳含め、それぞれ20冊を挙げていただいた(お二人からの「アメリカ文学ベスト20リスト」を掲載!)。少しだけご紹介すると、

▼大統領選関連では、スティーブ・エリクソンのAmerican Stutter(「アメリカは吃る」未訳)(巽)、J.D.ヴァンス『ヒルビリー・エレジー』(巽)/エリック・ラーソンThe Demon of Unrest(『混沌の悪魔』未訳)(巽)/フィリップ・ロス『プロット・アゲンスト・アメリカ』(巽・新元)/ロバート・A・キャロPassage of Power(新元)未訳

▼アメリカと戦争、同時多発テロに関しては、ローレンス・ライト『倒壊する巨塔』(新元)/コラム・マッキャン『無限角形 1001の砂漠の断章』(巽)/ラーラ・プレスコット『あの本は読まれているか』(巽)

▼カマラ・ハリス関連では、

ステファニー・ドレイ&ローラ・キャモイのAmerica’s First Daughter(『アメリカ最初の娘』)(巽)未訳

新元さんには、今のアメリカの社会状況と逆行する本として「立ち止まって考えること」の大切さに気付かされる、ジョーン・ディディオンの『悲しみにある者』(新元)やボールドウィンの『次は火だ』(新元)、ルース・オゼキの『あるときの物語』(新元)をお薦めいただいた。

話題が話題を呼び、本が本を呼び、たっぷり2時間近く、アメリカ文学のプロフェッショナルであるお二人から直接お話を伺うという贅沢な取材をさせていただいた。巽さんは一年前の昨年9月、ハーバード大学のクローディン・ゲイ学長の就任式に参列されたという、そのクローディン・ゲイ氏がすぐに辞職させられたことなど、アメリカのキャンセル・カルチャーを目の当たりにしている経験や、新元さんは、「9・11」アメリカ同時多発テロを現地で体験した時の衝撃も語ってくださった。

アメリカ大統領選直前ということもあって誌面では、大統領関連、アメリカ社会関連の話を中心に掲載したが、掲載しきれなかった対談の一部は読書人ウェブで完全版として公開!(※要会員登録)

WEB完全版では、「アメリカ文学の潮流/多様性の受容」として、ネイティブ・アメリカンの作家トミー・オレンジの『ゼアゼア(There There)』(巽)、ニューヨーク在住のベトナム系アメリカ人、モニク・トゥルンの『かくも甘き果実(The Sweetest Fruits)』(巽)、日系アメリカ人ルース・オゼキの『あるときの物語』(新元)、インド系アメリカ人のジュンパ・ラヒリ、中国系アメリカ人のケン・リュウも紹介。

さらに、ニューヨーク・タイムズベストセラー1位を何週も独走した超話題作『バベル』について詳細解説も!

「ところで、NYTのベスト100にも入っていませんが、しかしNYTベストセラーの1位を占めた作品に言及しないわけにはいかない。レベッカ・クァンの『バベル』が、それです。著者はイエール大学大学院の博士課程に在籍中の中国系学生作家ですが、この若さでこれだけの傑作をものしてしまうんですから、素晴らしい才能としか言いようがありません。間違いなく、21世紀前半のアメリカ文学史を代表する小説と言えるでしょう」(巽)

翻訳が文明を動かす、歴史改変小説『バベル』の全貌が明らかにされる?!

R.F.Kuang(匡灵秀),Babel:or the Necessity of Violence,an Arcane History of Oxford Translators’Revolution(2022)/R・クアン『バベル 暴力の必然またはオックスフォード翻訳家革命秘史』未訳

アメリカ大統領選まで1ヶ月を切った。ハリスかトランプか、ギリギリまで何が起こるかわからない。誌面と合わせて読書人ウェブの完全版も要チェック!

▽読書人ウェブ完全版はこちら

▽ニューヨーク・タイムズ「21世紀の世界文学ベスト100」はこちらから

▽ニューヨーク・タイムズ「読者が選ぶ本ベスト100」はこちらから


【今週の読物】

▽アメリカ文学・研究書特集 (6・7)
▽映画時評〈10月〉(伊藤洋司)(8)
▽著者から読者へ=『ミュージカル『モーツァルト!』の世界』(田嶋リサ)(8)
◇連載=「レジスタンス映画の系譜」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)363(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=〈書評キャンパス〉サリンジャー『フラニーとゾーイー』(柿元雪乃)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側 671(横尾忠則)(8)
◇連載=百人一瞬 Crossover Moments In mylife 35・宇田川悟(小林康夫)(8)

【今週の書評】

 〈3面〉
▽クロード・ピショワ/ミシェル・ブリックス著『ネルヴァル伝』(菅谷憲興)
▽吉原直樹・飯笹佐代子・山岡健次郎編著『モビリティーズの社会学』(根岸海馬)
▽財団法人正宗文庫監修・小川剛生編注『正宗敦夫文集1』(神作研一)
 〈4面〉
▽谷口雄太編『足利一門と動乱の東海』(川口成人)
▽カレン・ピアース著『料理からたどるアガサ・クリスティー』(川成 洋)
▽嶋﨑尚子・中澤秀雄・島西智輝・清水拓・張龍龍・笠原良太著『台湾炭鉱の職場史』(前野清太朗)
 〈5面〉
▽町屋良平著『私の小説』(水原 涼)
▽綾目広治著『悟りと破戒と救済と』(中村三春)
▽秋山気清著『あの鐘を鳴らしたのはわたし』(藤林道夫)
 〈7面〉
▽山根貞男著『日本映画時評集成 2011-2022』(高鳥 都)
▽ニーナ・ネセス著『ホラー映画の科学』(福田安佐子)
▽桑原規子著『戦後版画にみる日米交流』(西澤晴美)

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