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【What’s New!】週刊読書人2024年10月18日号

【What’s New!】週刊読書人2024年10月18日号

【特集】
対談=カトリーヌ・マラブー×栗原康
アナキスト哲学の可能性
『泥棒! アナキズムと哲学』(青土社)をめぐって

【本紙イントロより】 
 二〇二四年九月初旬、フランスの哲学者カトリーヌ・マラブー(以下、マラブー)が招聘され、都内で二つの講演がおこなわれた。
 マラブーは「可塑性」概念(みずから形を与えて受け取り、破壊する運動)を練り上げ、ヘーゲルやハイデガー、フロイト、カントなどを新たな視点から読解してきた。近年はアナキズム思想に関心を寄せており、『泥棒! アナキズムと哲学』の日本語訳が青土社より刊行された。
 今回は、アナキズム研究を専門とする栗原康氏とイベントスペース「読書人隣り」にて対談をしていただいた。(構成=西山雄二、翻訳=関大総)


今回のカトリーヌ・マラブーさんと栗原康さんのスペシャルな対談は、後日弊社から刊行予定のマラブーさんの論集に収録予定でしたが、それに先駆けて本紙に載録した形です。単行本の詳細は後日、弊社ホームページなどでご案内しますのでご期待ください。また、対談の模様は今回の企画の主催者である西山雄二さんが撮影、編集した動画も脱構築研究会のYouTubeチャンネル(@AssociationForDeconstruction)で近日公開されますので、興味のある方はそちらもチェックしてみてください(動画は本紙発売の3週間後くらいに公開予定、とのことです)。

対談はふたりの自己紹介のあと、マラブーさんの新刊『泥棒!』の話になります。まず、この強烈なインパクトのタイトル、そして前著も含めて気になっていたという栗原さん。同時にこのタイトルを見たときに自身のことを指しているのではないかと思ったそうです。

「たまに「泥棒アナキスト」と呼ばれることがあるので(笑)。それはなぜかというと、アナキズムが支配と闘うとき、所有に抵触するからです。(中略)僕はそれを肯定するときに「泥棒上等!」みたいなことを書いちゃったりするので、よく「泥棒アナキスト」みたいなことを言われもしました」

ちなみに、栗原さんのこの発言自体は、本書の論点、マラブーさんの発言でいうところの「アナキストたちこそ盗まれたのだということ、マルクス以降、人々は彼らからあらゆる考えを盗んだということです」という意図をきちんと汲み取った上での、栗原さん流のアイディアでもあります。

アナキストとは何か。この道を実践、研究しているふたりは周囲からどう見られ、それに抗おうとしているのか。栗原さんが実際の運動の現場で見たものや、マラブーさんが興味を抱いた運動など学問と実践を両立しているふたりならではのトークが展開されます。ぜひ、貴重なふたりの対談をお楽しみください。


【今週の読物】

▽読書人カレッジ@立教大学/戦後の日本社会に影響を与えた「古典」を読む 第八回(米本浩二)(8)
◇連載=「グレミヨンの抵抗の映画術」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)364(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側 672(横尾忠則)(7)
◇連載=百人一瞬 Crossover Moments In mylife 35(続)・宇田川悟(小林康夫)(7)
◇連載=戯史 平成紀〈一〇月〉(安倍夜郎)(7)

【今週の書評】

 〈3面〉
▽大河内泰樹著『国家はなぜ存在するのか』(面 一也)
▽高橋義彦著『ウィーン1938年 最後の日々』(熊野直樹)
▽今福龍太著『霧のコミューン』(中村隆之)
 〈4面〉
▽イアン・ジョンソン著『中国の反体制活動家たち』(阿古智子)
▽『日本歴史』編集委員会編『きょうだいの日本史』(山本 渉)
▽ヴィタリ・コンスタンティノフ文・絵/青柳正規監修『世界 お金の大図鑑』(小栗誠治)
 〈5面〉
▽海老原豊著『ディストピアSF論』(円堂都司昭)
▽井上荒野著『猛獣ども』(樋口良澄)
▽堀田善衞の会/竹内栄美子・高橋誠一郎・野村剛・丸山珪一編『堀田善衞研究論集』(黒田大河)
 〈6面〉
▽リュト・ジルベルマン著『パリ十区サン=モール通り二〇九番地』(安川晴基)
▽荒井裕樹著『感情の海を泳ぎ、言葉と出会う』(土佐有明)
▽川口茂雄著『アニメ・エクスペリエンス』(渡邉大輔)

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