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【What’s New!】週刊読書人2024年12月20日号

【What’s New!】週刊読書人2024年12月20日号

【年末回顧総特集号】
苅部直・渡辺靖・板橋拓己 鼎談
民主主義は再生への道を歩みはじめたのか

【本紙イントロより】 
 「年末回顧総特集号」をお送りします。学術・思想・文学・歴史・芸術など、ジャンルごとに一年を振り返ります。1・2面では、苅部直東京大学教授、渡辺靖慶應義塾大学SFC教授、板橋拓己東京大学教授の三氏に鼎談をお願いしました。(編集部)


 2024年も、気づいてみれば、残り2週間を切った。毎年、年の後半はあっという間に過ぎ去ってしまう。あれほど暑かった夏の日々が、今や懐かしいほどである。
 恒例の「年末回顧号」では、1・2面で、苅部直(東京大学教授)・渡辺靖(慶應義塾大学SFC教授)・板橋拓己(東京大学教授)の三氏に鼎談をしてもらった。タイトルは「民主主義は再生への道を歩みはじめたのか」とした。今年は世界的に〝選挙イヤー〟だった。日本の衆議院議員選挙のみならず、アメリカ大統領選ほか、各国で重要な選挙が相次いだ。その中で、〝意外にも〟民主主義が強靭さ(粘り強さ)を見せたというのが、板橋さんの意見である。ただし今、民主主義という政治制度自体が、明らかに曲がり角に来ている。選挙制度についても、改めてもう一度考え直さなければならない。そのことを、御三方のお話をうかがいながら、強く感じた。
 そしてまた、いわゆる〝知識人〟への不信感が強まっている。大学教育の存在価値も問われている。生成AIを、具体的にどのように使っていけばいいのか。問題は目の前に山積している。15年前に、この年末回顧鼎談を、私自身が引き継いだ際には、まだ牧歌的な時代だった(ように感じる)。果たして、来年は、どのような年になるのか。ウクライナ、イスラエル問題に進展はあるのか。トランプ2.0はどこに向かうのか。お隣りの韓国でも政治が、社会が揺れ動いている。〝100年に1度起こると言われることは、毎年起こる〟とは、誰が言った言葉だったか。この言葉が、常に頭によぎる15年間だった。
 その他、日本文学、外国文学、ノンフィクション、児童文学、詩、短歌、俳句、ミステリー、時代小説、SF、哲学、政治学、経済学、社会学、美術、音楽、映画、演劇、写真、ジェンダー、科学技術、日本史、東洋史、西洋史と、それぞれの専門家が、新刊本を中心にして、今年一年を振り返る。各執筆者の御原稿を拝読しながら、これも又毎年痛感することではあるが、〝出版不況〟〝若者の本離れ〟と言われながらも、かくも多様な、そして優れた本が、これだけの点数刊行されている。そのことは、出版界の片隅に生きるものとして、大いに誇りに思いたい。是非とも、取り上げられた本の中から、一冊でも二冊でも、手に取っていただければ幸いである。
 それでは、読者の皆様も、何卒よいお年をお迎えください。


【二〇二四年回顧総特集】

◇論潮(橋爪大輝)◇文芸(柿内正午)◇2024年出 版動向(丸島基和)◇マスコミ(鈴木雄雅)(3)
◇外国文学=▽英文学(下楠昌哉)▽アメリカ(長岡真吾)▽フランス(塚本昌則)▽中国(濱田麻矢)▽韓国(相川拓也)▽ロシア(髙田映介)▽ラテンアメリカ(立林良一)(4・5)
◇ノンフィクション(武田徹)◇児童文学(土居安子)◇短歌(藤原龍一郎)◇俳句(浅沼璞)(6)
◇ミステリー(古山裕樹)◇SF(冬木糸一)◇時代小説(末國善己)◇詩(和合亮一)(7)
◇哲学(檜垣立哉)◇政治学(吉田徹)◇経済学(塚本恭章)◇社会学(石岡丈昇)(8)
◇芸術=▽美術(河本真理)▽音楽(小宮正安)▽演劇(高橋宏幸)▽写真(タカザワケンジ)▽映画 (伊藤洋司)◇ジェンダー(福永玄弥)◇科学技術(斎藤光)(9)
◇日本史=▽古代史(木本好信)▽中世史(櫻井彦)▽近世史(福留真紀)▽近代以後(阿部安成)◇西洋史(鈴木楠緒子)◇東洋史(関智英)(10)

◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側 671(横尾忠則)(8)
◇連載=〈書評キャンパス〉金間大介『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』(鈴木瑠南)(10)

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