お知らせ
【What’s New!】週刊読書人2025年1月3日号(12月27日合併)
【特集】
2025年新年特別号(本号16頁)
対談=柴田元幸×小野正嗣
<物語への/からの愛と信頼>
ポール・オースター『4321』(新潮社)刊行を機に
■第二部=新書のすすめ…三宅香帆さんが新書を買う/他(5)~(10)
【本紙イントロより】
ポール・オースターの『4321』(新潮社)が刊行となった。一九四七年にユダヤ系の家庭に生まれた、アーチボルド・ファーガソンの青春期を描く大長篇である。刊行を機に、本書の訳者でアメリカ文学者の柴田元幸氏と、作家でフランス文学者の小野正嗣氏に対談をお願いした。(編集部)
2025年1月3日号(12月27日合併)1・2面の特集は、ポール・オースターの『4321』刊行を機に、翻訳家でアメリカ文学者の柴田元幸氏と、作家でフランス文学者の小野正嗣氏にお願いしました。
昨年四月三〇日に、七七歳でなくなったポール・オースター。2024年6月14日号では、追悼対談を行っています。その折、『4321』が七年がかりで、やっと刊行になるという話も聞いていました。今回『4321』を読み終えたときに、ポール・オースターが亡くなってしまったのか…と、その実感が遅れてやってきたような気がしています。
対談のごくはじめに、「小説は読者と作者が一対一の関係になれるメディア」だというお話がありました。いろいろな意味に捉えられる言葉だと思いますが、『4321』のあの長い物語に、小説の方からも手放されないような近さで、じーーーっと向き合っていた時間、物語と現実との踊り場にいて、作者と一対一だった、その感じは味わった気がしています。なぜか思いだすのは、『はてしない物語』を読んだ子どものときのことです。主人公が読んでいた本に要請されて、物語の中に入っていく、そのとき確かに私も、本の中に一緒に入った感覚がありました。子どものときは今より集中力と想像力がたくましかったと思うのですが、『4321』は大人になって久しい今も、同じような読書の喜びを与えてくれたと思っています。
お二人の対談は、読む喜びを損なわない入念の配慮のもと、対談が先でも本が先でも、読んだ後に深く腑に落ちるお話になっています。東京大学教授でドイツ文学者の大宮勘一郎氏の書評も、併せてお読みください。
また、「第二部=新書のすすめ」では、昨年『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が話題となった、三宅香帆さんに「新書を買う」企画にご登場いただきました。さらに今年は、岩波新書、中公新書、角川新書の編集長にお集まりいただき、新書鼎談で大いに語っていただいています。各版元の新書紹介も、年末年始にお楽しみいただけたらと思います。
【今週の読物】
▽読書人カレッジ〈戦後の日本社会に影響を与えた「古典」を読む〉第一〇回・網野善彦『「日本」とは何か』を読む(成田龍一)(16)
◇連載=「バザンと「オブジェクト49」」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)373(聞き手=久保宏樹)(14)
◇連載=〈書評キャンパス〉スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』(溝田雄琉)(14)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側 672(横尾忠則)(15)
◇連載=American Picture Book Review 92(堂本かおる)(15)
◇連載=百人一瞬 Crossover Moments In mylife 44・永山國昭(小林康夫)(15)
【今週の書評】
〈3面〉
▽宮崎悠・柴田晃芳・中村研一著『国際存在としての沖縄』(田仲康博)
▽山森裕毅著『フェリックス・ガタリの哲学』(有馬景一郎)
▽中田光雄著『A・バディウ』(近藤和敬)
〈4面〉
▽前田和男著『炭鉱の唄たち』(松浦雄介)
▽鈴木惣一朗著『こころをとらえる響きをもとめて』(栗原裕一郎)
▽友利昴著『江戸・明治のロゴ図鑑』(兒玉州平)
〈13面〉
▽森達也編著『ガザ虐殺を考える』(山本健介)
▽白石雅彦著『「ウルトラマンレオ」の出発』(切通理作)
▽ロバート・パーカー著『古代ギリシアの宗教』 (吉川浩満)
〈14面〉
▽ジョージ・ソーンダーズ著『ソーンダーズ先生の小説教室』(西崎 憲)
▽福田逸編著『福田恆存の手紙』(白石純太郎)
▽ポール・オースター著『4321』(大宮勘一郎)