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【What’s New!】週刊読書人2025年2月14日号

【What’s New!】週刊読書人2025年2月14日号

【特集】
対談=鵜飼 哲·澤田 直
<完璧な人――追悼・鈴木道彦>

【本紙イントロより】 
 昨年11月11日に九五歳で亡くなった仏文学者・獨協大学名誉教授の鈴木道彦氏。プルースト『失われた時を求めて』の個人全訳やサルトル『嘔吐』の新訳などで知られ、また社会活動の方面でも活躍をした。共に鈴木氏を「先生」と仰ぐ、一橋大学名誉教授の鵜飼哲氏と立教大学教授の澤田直氏に鈴木氏のことを振り返っていただいた。(編集部)


鵜飼哲さんは数えるほど、澤田直さんは数え切れないほど。ふたりが鈴木道彦さんに直接接した回数は非常に対照的です。それでも、鵜飼さんも「どうしても先生と呼ばずにはいられない数少ないお一人」だと鈴木道彦さんに対して敬意を表します。鵜飼さんが所属している一橋大学言語社会研究科創設に端を発しているのが、それ以前の鈴木道彦さんらの活動からきていたことなど、対面した回数以上の意外な縁の深さを述べられます。澤田さんの鈴木道彦さんとの出会いに鵜飼さんが関わっていたというお話も。それぞれの出会いにそれぞれの縁あり。巡り合わせの面白さが冒頭のふたりのやりとりに凝縮されています。
数多ある鈴木道彦さんのお仕事の中から、今回の対談で強調されるのは、ファノン『地に呪われたる者』からの影響、最初の著書『サルトルの文学』について、「日本のジュネ」をめぐる考察です。鈴木道彦さんがフランスで見てきたもの、体験したもの、それらをいかに自分の思想に落とし込んでいき、やがて日本での在日朝鮮人問題との関わりへとつながっていく。それと同時に、澤田さんから「道彦先生は本来学究肌の方ですが、他方で実務能力も抜群に高く、(中略)どうしたら学問的な仕事と並行してそんなことまでできるのだろうかと、ただただ驚かされていました」と回想をされます。
どこを取っても鈴木道彦さんの凄さが伝わってくる対談です。生前ご縁があったかたもそうでない方も、ぜひご一読いただき、鈴木道彦さんのお仕事を振り返っていただければと思います。

【補足】
鈴木道彦さんは過去、弊紙にも書評をご寄稿くださいました。その一部をご紹介します。
アンリ・ペリュショ『フランスの若者たち』(1961年10月23日号)
大江健三郎『世界の若者たち』(1962年9月24日号)
井上光晴『井上光晴作品集3・八月の狩・他』(1965年8月16日号)
ジャン=ポール・サルトル『聖ジュネ』/『トロイアの女たち』(1966年11月14日号)


【今週の読物】

▽読書人カレッジ@立教大学/戦後の日本社会に影響を与えた「古典」を読む 第十一回(野家啓一)(8)
▽映画時評〈2月〉(伊藤洋司)(7)
◇連載=「小津とアキ・カウリスマキ」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)379(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=〈書評キャンパス〉ジャッキー・コリス・ハーヴィー『赤毛の文化史』(外塚唯)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側 678(横尾忠則)(7)
◇連載=百人一瞬 Crossover Moments In mylife 50 J・M・G・ル・クレジオ(小林康夫)(7)

【今週の書評】

 〈3面〉
▽飯田泰三著『近代日本思想史大概』(河野有理)
▽オメル・バルトフ著『ホロコーストとジェノサイド』(芝 健介)
▽豊田真穂編『優生保護法のグローバル史』(坂井めぐみ)
 〈4面〉
▽絓秀実・花咲政之輔編著『全共闘晩期』(上野昻志)
▽平山賢一著『物価の歴史』/『金利の歴史』(小栗誠治)
 〈5面〉
▽鴻野わか菜著『生きのびるためのアート』(河村 彩)
▽笠間直穂子著『山影の町から』(奥山淳志)
▽黒川創著『この星のソウル』(四方田犬彦)
 〈6面〉
▽テレーゼ・ムクセネーダー著『シェーンベルクと若きウィーン』(白井史人)
▽上原作和著『清少納言伝』(中島和歌子)
▽レベッカ・ストラザーズ著『人類と時間』(湯山光俊)

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