お知らせ

【What’s New!】週刊読書人2025年3月21日号

【What’s New!】週刊読書人2025年3月21日号

【特集】
読書人カレッジ@立教大学 載録(講師・小松美彦)
<新たな権力〈生権力〉の登場と展開>
――M・フーコー『知への意志』を読む

【本紙イントロより】 
 立教大学(東京・池袋)で昨年開講された連続講座「読書人カレッジ」(「戦後の日本社会に影響を与えた「古典」を読む」全十四回、読書人/公益財団法人日本財団共催)の第十三回「新たな権力〈生権力〉の登場と展開――M・フーコー『知への意志』を読む」(講師=小松美彦・東京大学客員教授)の講義の模様を載録する。完全版は読書人WEBにて公開予定(詳細は3面QRコードから/第二~十二回は公開中)。なお、フーコーの著作(翻訳書)からの引用はすべてゴシック表記とし、また同書のゴシック箇所は傍点を補った。講師による追記は〔 〕で記した。(編集部)


3月21日号1・2面特集は、立教大学(東京・池袋)で昨年開講された連続講座「読書人カレッジ」の第13回「新たな権力〈生権力〉の登場と展開――М・フーコー『知への意志』を読む」(講師=小松美彦・東京大学客員教授)の講義の模様を載録する。1980年代に学生時代を送った身としては、『フーコー・ドゥルーズ・デリダ』(蓮實重彦著)の著書名が示すように、ミシェル・フーコー、ジル・ドゥルーズ、ジャック・デリダの代表作ぐらいは読んでいなければ(理解したということではなく)、サークルなどで交わされる会話の輪に入っていくことができなかったことを、身にしみてわかっている。難解な言葉を駆使しながら、何かをわかったつもりになっていた。今回、小松美彦さんの講義を聴講して、また、改めて講義録を読みながら、「これほどわかりやすい、『知への意志』の解説があったのか!」と、何度もうなずいた。学生時代に、このような講義に出会いたかった。〈生権力〉とは、いかなる権力か。二読三読いただきたい。

本講義で、「読書人カレッジ@立教大学2024」の講義載録はすべて終了する。ルソー、三島由紀夫、トクヴィル、沢木耕太郎、小林秀雄、石牟礼道子、網野善彦、トマス・クーン、真木悠介(見田宗介)、そしてフーコーと、どの講義も、〈白熱講義〉だった。すべての講義録が「読書人WEB」で読むことができるので、是非アクセスいただきたい。つづいて、書評面から――。まずは3面。山田朗(明治大学教授)監修『関東大震災一〇〇年の今を問う』(日本経済評論社)を取り上げてみよう。評者は、西村直登さん(桃山学院大学兼任講師)。関東地帯一体で、日本の軍隊、警察、民衆によって多数の人々が虐殺された事件を追う、貴重な歴史書である。

4面からも、同じく歴史書を取り上げてみよう。塩野麻子著『病原菌と人間の近代史』(人文書院)。評者は、阿部安成さん(滋賀大学教員)。「この三〇年ほどの研究成果を軸として、より広く研究動向をふまえ、そして捉え直した一つの集大成として評価し得る著作である」。7面には、4000字のロング書評が掲載されている。ジェイソン・ブレナン著『投票の倫理学 上・下』(勁草書房)。評者は、尾野嘉邦さん(早稲田大学教授)。「われわれはどのように投票すべきなのか」「「良い」投票を行うための思考実験」としての一書。民主主義という制度が岐路にある現在、是非とも読んでおきたい一冊である。 今日(3月19日)の東京・神保町は、午前中には大雪が降り、会社のベランダにも雪が積もっている。明日は「春分の日」。「寒さ暑さも彼岸まで」の言葉通り、間もなく、本格的な春が訪れるのか。皆さんも、よい週末をお迎えください。(A)


【今週の読物】

▽著者から読者へ『出版流通が歩んだ道』(能勢仁)(8)
◇連載=「独自に発展したミュージカル映画」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)384(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=〈書評キャンパス〉島本理生『ファーストラヴ』(中岡輝聖)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側 683(横尾忠則)(8)
◇連載=百人一瞬 Crossover Moments In mylife 55・坂部恵(小林康夫)(8)
◇連載=戯史 平成紀〈三月〉(安倍夜郎)(8)

【今週の書評】

 〈3面〉
▽茅野大樹著『ベンヤミンとモナドロジー』(小林哲也)
▽松島泰勝・伊佐眞一ほか編『取い戻さな!我した琉球先祖ぬ骨神』(太田好信)
▽山田朗監修/関東大震災朝鮮人・中国人虐殺一〇〇年犠牲者追悼大会実行委員会編『関東大震災一〇〇年の今を問う』(西村直登)
 〈4面〉
▽ジョナサン・B・ロソス著『ネコはどうしてニャアと鳴くの?』(服部 円)
▽塩野麻子著『病原菌と人間の近代史』(阿部安成)
▽向山直佑著『石油が国家を作るとき』(片岡剛士)
 〈5面〉
▽小山田浩子著『最近』(川崎 祐)
▽藤井義允著『擬人化する人間』(竹永知弘)
▽中島京子著『坂の中のまち』(川口則弘)
 〈6面〉
▽嶋田奈穂子著『看取られる神社』(問芝志保)
▽ジュディ・バタリオン著『ゲットーの娘たち』(田中壮泰)
▽舩木篤也著『三月一一日のシューベルト』(小宮正安)
 〈7面〉
▽ジェイソン・ブレナン著『投票の倫理学 上・下』(尾野嘉邦)
▽リュッターマン・マルクス編著『「かのように」の古文書世界』(岡野友彦)

Paper & Back number

「週刊読書人」紙面版のご購入およびバックナンバーのご購入・定期購読のお申し込みはこちらから

Contact Us

「週刊読書人」に関するご相談・お問い合せは専門フォームにてご連絡ください。