2026/04/03号 8面

日常の向こう側 ぼくの内側 732(横尾忠則)

日常の向こう側 ぼくの内側 732 横尾忠則 2026.3.23 〈森山大道さんも出品している美術展会場へ。女性作家の大作の力作が沢山並んでいるが、どの作品も芸術的でつまらない。芸術でないものを探すがそんな作品はなく愕然とする。森山さんと会場を出て食事に行く〉ところで目が覚める。  早朝咽が痛くて目が覚めるが、どうやら湯冷めが原因らしい。  『anan』で『運命まかせ』の紹介記事のために取材と撮影。  ニューヨークのドローイング・センターでバーガーコレクション所蔵作品の展覧会が開催。香港の美術館にも巡回。 2026.3.24 伊東豊雄さんがアトリエに来訪。伊東さん好物の椿のとんかつが主人が倒れたために中華に変更。伊東さんの建築は自然と見事に同化している。自然には垂直、水平がないように伊藤さんの建築は神道とどこか共通する。 2026.3.25 〈オノ・ヨーコさんが盛岡でお祭の神輿を担ぎたいと来日する。84歳とは思えないこの行動力、好奇心、エネルギーに驚嘆する。もう会えないと思っていたけれど、いつものように「ハーイ」とアトリエにやってきた〉夢を見る。  〈リサ・ライオンがやってきて、編集者がツーショットをと要求すると、彼女はもっと売れてる人と撮りたい〉という夢を見る。  玉川病院の森田先生の定期診断に。疲れ、しんどいの症状はデータに出ていないけれどしんどいのだ。疲れを取る漢方薬を処方。 2026.3.26 〈酒井忠康さんらしい人と建畠晢さんの区別のつかない人とピッツバーグらしい街に来ているが、明日、酒井さんと建畠さんらしい人がトロントに招待されているので行くという。ひとり取り残されるのも嫌だから、ぼくも同行したい〉という夢を見る。  〈小澤征爾さんが八百屋で美味しい果物を見つけたので、八百屋のお嬢さんに、自分のいるところに運んで欲しいと無理な注文を出される〉夢を見る。  村上春樹ライブラリーのグッズの依頼に、TOKYO FMの久米さんとなぜか実業之日本社の村瀬さん来訪。  午前中、jabでヘアーカットを。先日撮った『FLASH』の写真がひど過ぎるのでカメラマンを変えて再撮影。 2026.3.27 〈千葉かな? かなり広大な広場に大勢の人達といるが、意外に知人はひとりもいない〉。最近は悩んだり、迷ったり、困ったりの夢ばかりだが、老齢に直面した本心の具現化かも知れない。  西脇の丸萬さんが、以前郷里で制作した杉原谷の紙すきの作品を織物で再生したいと、出来上ったサンプルを持参。これからは絵画の二次産業時代に入っていくのかな。  翻訳者の金子靖さんが海外向けの伝記的な本を制作したいと色々プランを持参。  庭の桜の巨木に花が満開だが、何年も前に比べると花の数が散ってきた。 2026.3.28 〈銀座で偶然声を掛けられたドイツ人婦人は実は今夕、日比谷で対談するお相手だった〉という夢。  一日何となくボンヤリとおでんのことを想っていると、本当に間近にいるような気がしてきた。 2026.3.29 長野から帰ってきている北沢さんと『週刊新潮』の種井さんが来訪。天ざるの出前を取って、野川に花見に行くが物凄い花見客の数にあきらめて、種井さんの車で深大寺へ。ここも桜の数より人の数が多く、車で一巡して仙川に戻って、アンミツを食べて、再び野川へ。車から降りて、人波の激しい公園内で写真を撮ったりして――。  2時間ばかり車で走ったので疲れた。2人と別れて早々に帰宅。ドジャース戦を見る。まだ大谷のバットはしめったまま。久し振りに外出したけれど、体力不足を確認させられた。(よこお・ただのり=美術家)