書評キャンパス
キム・ハナ/ファン・ソヌ『女ふたり、暮らしています。』
森 碧衣
一人で生きることの難しさを感じる一方で、異性と生涯を共にしている未来も想像できず、社会が想定する標準的な生き方に自分を重ねることにも違和感があった。人生の設計をどうしたものかと考えているところで本書の存在を知った。
『女ふたり、暮らしています。』は、女二人と猫四匹(W2C2)の愉快な生活を綴った韓国で話題のエッセイである。結婚でもただのルームシェアでもない。マンションを共同で購入し、気の合う友人を人生のパートナーに選んだ二人の暮らしは、読者に「誰と、どう生きるか」という問いを自然に差し出してくる。
キム・ハナとファン・ソヌ、それぞれの視点から描かれる本書に、大きな事件や劇的な展開はほとんどない。ふたりの経験した日常が五~十ページほどずつ交互に語られていく。お互いのこと、マンションを買うまでのこと、飼っている猫のこと、家事や仕事のこと、別の階に住む友人のこと。三十代まで一人暮らしを楽しみ、自ら望んで単身生活を選んできた二人が、寂しさではなく「誰かと生きたい」という感覚から綴る文章は、私たちが抱える他人との距離感の悩みや将来の不安を、少し楽にしてくれる。
たとえば、ソヌの語る「けんかの技術」が印象的である。「仲良く暮らすというのはすなわち、よくけんかするということだ。」ハナとソヌの喧嘩に対する姿勢は対照的だ。ハナは感情を表に出し、声に出して正面からぶつかるタイプなのに対し、ソヌは攻撃的になることを避け、言い争いを好まず、衝突する前に距離を取ろうとする。
筆者は後者であり、人と争うことが苦手で、喧嘩とは関係が悪いから起こるもの、うまく支え合えないから生じるものだと考えていた。しかしソヌは、「喧嘩の目的は何か」を問い直す。誰かと共に暮らす以上、意見がぶつかり合い、衝突し、そして許し合う過程は避けられない。喧嘩を避けることは大人だからではなく、むしろ関係に踏み込まず、逃げるという選択なのかもしれないと、本書を通して気づかされた。
「普通」とは何かを考えさせられる。本書に描かれるのは、「結婚しない」という事実ではなく、「結婚しなくても成立している生活」である。結婚や恋愛を前提としない関係が、特別な主張としてではなく、あくまで一つの暮らしの形として提示されている点に、本書の静かな強さがある。
同性の恋人関係が受け入れられ始めている時代に、あえて恋愛感情を持たない友人と一生を過ごしてもよいのだと、自分の前提を揺さぶられた。かつて友人たちと「大きくなったら一緒に住みたいね」と話していたことを思い出す。本書風に言うならば、私はW3C2Dという暮らしもおもしろそうだと思う。女三人に猫が二匹、犬が一匹。あなたの未来は、どんな分子式に表されるだろうか。本書は、その答えを一つに限定しない。(清水知佐子訳)
書籍
| 書籍名 | 女ふたり、暮らしています。 |
| ISBN13 | 9784484221458 |
| ISBN10 | 4484221454 |
