日常の向こう側 ぼくの内側 721
横尾忠則
2025.12.15 一日便通がなかっただけで便秘だと想像力をたくましくする。が、「何だ一日だけだったのか」と気づいた途端に便秘妄想は解消。
ぼくも収録されている『五木寛之傑作対談集 Ⅱ』の石原慎太郎と大島渚を読む。教養と知識のバトルで言いたかったことは何かな。
国立東京医療センターの呼吸器科の江口先生の診断を受ける。セカンドオピニオンの診断も導入して綜合的に自己診断する方が安心する。それにしても動くだけで息切れ、動悸がするのは老化現象? ここの病院は広いので院内で充分遊べる。レストラン、ティーサロン、コンビニ、書店、美容室もあり、待合室は空港のよう。
再入院のおでん、退院して家族全員揃ったと思ったら所かまわず放尿。
20年前に自演自作のDVD『記憶の光景』を見る。たまに過去を現在化させるのもいい。自分の人生がファンタジーに思える。
2025.12.16 GUCCIの展覧会の打上げ会をGUCCI経営のレストランで。ここは日本の中のイタリア。生涯未体験のイタリアン料理で幻想気分。
2025.12.17 アトリエへの途上で自転車事故目撃。先日の自分? 救急車のサイレンを聞きながら、我がことのような想いでアトリエへ。
プロデューサーの恩田さんと大宮ソニックシティの河村さんが、この間のフィリップ・グラス以上の音楽と美術のコラボ舞台の制作を2027年目標に依頼される。発表の場が美術館から劇場に移動?も悪くない。
保坂和志さんの小説『鉄の胡蝶は』の装幀と対談集の依頼に講談社の松沢賢二さんと来訪。
2025.12.18 〈西脇の実家。若い頃の妻が家出をするという。一体何のために?〉という夢を見る。
ベルリンのポスター展が大好評とか。「これはポスターではなく、アートだ」と。ジャンルを越えて見てくれているのは、日本の固定観念への批評だろう。メディアが違うだけでやっていることは同じ。何をやっても自分は自分。
糸井重里さん菅野さんが「ほぼ日マンガ部」のポスターの原画を見に。
2025.12.19 BEAMS50周年記念のグッズに使用する絵の依頼。アートが段々二次産業化するのも時代の運命?
「週刊新潮」の種井さん年末の挨拶に。読者プレゼントのバックに絵を装飾。これもアートの二次産業。
2025.12.20 おでん金曜の夜から土、日は入院。放尿の心配はないのは天国だが、また月曜日からおでん地獄が始まるが、おでんにとってはわが家が天国である。
神戸屋でミニステーキのランチを食べながら、「週刊新潮」のエッセイ1本仕上げる。
ニューヨークの親友のイラストレーターのポール・デイヴィスのマーナ夫人より、ポールが大ケガをしたとメール。転倒して股関節骨折で手術。リハビリ施設に入所、退院後、再びもう一方の股関節を骨折。再び手術、再びリハビリ施設へとメールが届く。ぼくも含めて周辺で次々と転倒している。老齢になると転倒ブームが起こる。
プロレスの放映は必ず観る。お互いに極限の死闘を繰り返し、瀕死の状態から再び立ち上る。この肉体的奇蹟は絵のリングの中で可能か、どうか。あの不死身の肉体と精神はどこから来るのか?
2025.12.21 3時頃から雨の天気予報なのでその前に帰宅する。
全国高校駅伝男子をビデオで、一区いきなり西脇工業飛び出したが、ズルズル落ちて6位。昔の常連優勝校だった時代は夢の夢。続いて女子を見る。つい美人探しに集中してしまう。シドニーオリンピックに出た西脇工業の山口衛里は美人だった。今は田中希実。彼女も西脇工業の美人ランナー。(よこお・ただのり=美術家)
