書評キャンパス
水野敬也『夢をかなえるゾウ』
小林 翔
成功した人には何らかの「秘訣」がある。しかし、それは自分にとってはどれも実現することが難しいものばかり。そう、思っていた。
「夢をかなえるゾウ」
そのタイトルを見て、筆者が知らない成功の秘訣を知ることができる小説だろうかと思い、この本を手に取った。ただ、それまでの成功の秘訣と同じように、実現は難しい内容が書かれているのだろうと考えていた。
ところが読んでみると、成功の種は、誰でもできるような、逆に当たり前すぎて疎かにしてしまう小さな行動の中にこそ眠っている、そのことを再認識する本だとわかった。
これは、酒を煽りながら成功を願い泣いていた青年が、ゾウの見た目をしたインドの神様、「ガネーシャ」と出会う物語だ。関西弁のちょっぴり変わった神様からの学びは、難解で不明瞭なものではなく、少しの勇気さえあればできるものばかり。試しに靴をみがいてみたり、募金をしてみたり、相手の良いところを一つ考えてみたり、そんな小さな行動を積み重ね、主人公の青年は少しずつ人生を変えていく。その姿を見ながら、読者もガネーシャの学びを得ることができる自己啓発小説である。
本書は、直接関係ないような、遠回りに見える行動一つ一つが、実は成功の近道であるということを、主人公と一緒に学ぶことができる、とても表現が易しく、面白く読めてしまう一冊だ。ガネーシャの教えを一つずつ毎日やり進めながら読んでいってもいいし、一気に読み進めてしまっても構わない。
筆者は最初、なんとなくこの本を手に取った。教えを守りながら、堅実に読んでいたわけではない、一気に読み進めてしまった側の人間だ。それでも、読み進めていくうちに、何かを成し遂げたいとやる気がみなぎっている自分がいた。
ぱらぱらと読み進んでいたある時、筆者はガネーシャの言葉にはっとさせられた。「『座っとる』だけや」。そう、座っているだけなのだ。主人公も筆者も、ただガネーシャの教えを聞いて座っているだけだったのだ。それは言葉も出ないほどの衝撃だった。
最後に最も好きなセリフを紹介して終わりにしようと思う。「世の中に、どんだけぎょうさんの仕事がある思てんねん。しかも、その才能を判断する人、どんだけおる思てんねん。確かに、なかなか自分の才能は見出されんかもしれへん。けどな、それでも可能性を感じるところにどんどん応募したらええねん。そこでもし才能認められたら、人生なんてあっちゅう間に変わってまうで」
筆者はいままで自分を表現する場に行くことがあまりなかった。しかしガネーシャの教え通り、座っているだけでなくて、小さなことからでもいいからまずは動いてみようと思った。
そして今、この書評キャンパスに「応募」するために、この文章を書いている。
何かを成し遂げたい、挑戦してみたいと感じている人はぜひ手にとって、本書を読んでみてほしい。
★こばやし・しょう=大阪国際大学国際教養学部2年。ギターや読書が好きで、よく取り組んでいます。マイブームは日記です。最近では友達と一緒に日記づくりに励んでいます。
書籍
| 書籍名 | 夢をかなえるゾウ |
| ISBN13 | 9784870318052 |
| ISBN10 | 4870318059 |
