2026/07/03号 8面

長編詩 追憶の田中清玄

著者から読者へ=『長編詩 追憶の田中清玄』(天童大人)
著者から読者へ 長編詩 追憶の田中清玄 天童大人  飯倉・キャンテイの二階の通路を横切る男を見て、突然、岡田真澄が「タナカさん!」。聲を掛けられた中年の男は、巷でも滅多にお目にかかれないダンディな紳士。タナカセイゲンと男は名乗り、出された名刺は田中清玄。即座に六十年安保の北大の唐牛健太郎ら全学連に資金提供した右翼の巨頭と分かった。  三、四時間余り、二人きりで濃密な時間の中、突然、「三島由紀夫君も石原慎太郎君もぼくの自伝を書きたいと言うが、僕は君に書いてもらいたい。」と言われた。二十五歳の若輩者に自伝を?と、翌日、文化学院を訪れ、折口信夫の愛弟子で国文学者加藤守雄先生に相談すると「お前、右翼の親分の自伝を書いてどうするのか」と言われ、断念。しかし、何故か数年前から詩作品として、一編、二編と書き継ぎ、昨年九月、FBに、田中清玄のことを書くと、福岡の知人佐藤隆治さんから、「篠原浩一郎氏を知っていますか?」と言われ、八十七歳の篠原氏が、六四〇行の「激烈な男 田中清玄」を聴かれ、「田中清玄が詩になった!」といわれ、「一冊になると良いなあ」と呟かれたのだ。それから約五か月、三四〇〇行の長編詩とした。  登場人物は、岡田眞澄、田中清玄、加藤守雄、戸川エマ、山本玄峰、升田幸三、昭和天皇、壽岳文章、田岡一雄、スハルト大統領、住吉明治、三島由紀夫、森茉莉、桂芳久、吉田一穂、アラン・キュニー、岩永基文、ジリアン・プール、ガリーナ・ヴィシネフスカヤ、藤富保男、エズラ・パウンド、メアリ・ドォ・ラヘヴィルツ、紫圭子、萩尾望都、白石かずこ、イヴ・ダナ、シェイクザイド王、尾崎咢堂等、多士多才が登場。小菅刑務所に十一年十か月。その間に母親は自害。出所後、三島の山本玄峰老師に師事。敗戦後の十二月二十一日、昭和天皇と会見。山口組三代目田岡組長と麻薬撲滅運動を推進するが、狙撃され挫折。その後、石油メジャー資本セブンシスターズと戦い、アブダビのシェイクザイド王の全面的な協力・助力を得て、家を抵当に入れてまで開発した油田が自噴。その頃、国内で走る車の四台に一台は、田中清玄の油で走っていると言われた。日本の今の政府の動きを国士・田中清玄が見ていたら激怒することだろう。軍備費増大に歯止めが利かず、「武装して行くと必ずこの国は戦争に向かう」と、一九八〇年代に断言している田中清玄の予言が実現しないことを今は祈るのみ。(てんどう・たいじん=オリエント神秘家詩人)

書籍

書籍名 長編詩 追憶の田中清玄
ISBN13 9784790604136
ISBN10 4790604136