2026/05/22号 7面

日常の向こう側 ぼくの内側 738(横尾忠則)

日常の向こう側 ぼくの内側 738 横尾忠則 2026.5.11 昨日の朝飲んだ便秘薬の作用によって深夜に嘔吐気味の苦しみに直面。だけど早朝便秘は解消。地獄から極楽へ昇天。  絵もほどほどに、やり過ぎると絵も便秘に。  夕方、気分転換にシャンプーへ。  アメリカ、ヨーロッパより刺激的な仕事の話。そのことでは忙しくはないが、ストレスにはなる。 2026.5.12 〈堤清二さんと郷里の銭湯で磯崎新さんと、昨日舞台劇を演じた話をしている時、元富山県立近代美術館の学芸員の片岸さんが、車の中にアンポ柿を置いているので持ってくると銭湯を出る〉そんな夢を見る。  鹿島茂夫妻来訪。パリのカルティエ現代美術財団で展示中のぼくの絵やグッズなど会場写真、それに数冊の著書などいただく。なるほどと思った話で、セックスと輪廻転生を分けないで一体のものとして発想する人は鹿島さんが初めてだったが、案外気づかないものだ。 2026.5.13 一進一退の便秘に悩まされている。  一週間ほど前から36・6、7分の熱のために、妻の玉川病院での定期診察に同行しようと思ったが、結局向いの水野クリニックへ行くが、夕方また熱が出る。 2026.5.14 春陽堂書店から、自伝のリニューアルが出るが、タイトルを「未完で生まれて、未完で生きて、未完で死ぬ」に変更。  神戸の横尾現代美術館の平林さんが次々回展の展覧会プランを持参。有馬温泉の金の浴剤貰う。 2026.5.15 長男の誕生日。還暦だという。歳が接近してきた。  実業之日本社企画の茂木健一郎さんとの対談集の3回目を。熱のせいか、どの質問も簡単に答えられないものばかりだった。この世の全てが答えられないことばかりで弱った。そーいえば、どんな質問に対しても答えないまま90年間生きてきたように思う。ひとつひとつ答えているともっと寿命は早く終ったような気がする。ここまで生きられたのは答えを出そうとしなかったからだと思う。  茂木さんとの対談の最中に編集者が、佐藤愛子さんの死を報告する。佐藤さんとは数年前対談をしたが、あゝいう物の考え方、生き方をする人はきっと長命だろうなと思った。寿命を決定するのはその人の性格じゃないかな。 2026.5.16 昨夜から熱のため息苦しく、今朝一番で救急車で玉川病院に行く予定で徳永が休日なのに来てくれたが、元院長の中嶋先生が電話で、あれこれ検査ばかりされて疲れるので、水野クリニックで感染症の検査をしてもらったら、といわれて水野さんへ。コロナも。インフルエンザも心配なく、熱は忙しいのと便秘のストレスの結果と診断。  妻の食事の用意はかなりハードで限界に来ているので、これ以上無理なので養老院に入りたいともらすが、以前は絶対入りたくないと言っていたので、気が変ると思う。今の家が気に入って、手に入れたんだから、他へは移らないと思うよ。 2026.5.17 〈郷里の病院で梅原猛さんが退院されるところでバッタリ会う。「どう?」と聞かれたので、「最近まで沖縄に行っていました」というと道理で変なナマリだね〉といわれる夢を見る。  〈死んだ兄が、近くに来たので会いたいというが、死者と生者では会うのは無理だよと答える〉夢を見る。  やはり熱は下らない。感染症ではなく、何んだろう。中嶋先生も水野先生も仕事と便秘のストレスで熱が出ることがあるので、それではないかと。そうかな? 何んか別の原因があるのでは?  コンビニに行くが倒れそう。もしや熱中症?と思ってスポーツドリンクを飲む。たちまち疲労感が抜け、体温は36・7から36・3まで急激に下る。やはり熱中症だったのだ。約一週間の慢性熱中症だったことが判明。どの医者も気づかなかった。病気は想像力で治ると確信する。(よこお・ただのり=美術家)