日常の向こう側 ぼくの内側 755
横尾忠則
2026.9.14 今日の朝食はフランスパン一口、イチジク一個、オレンジジュース一口、ヨーグルト小さじ二口。相変らず食欲はない。申しわけ程度に食べるが味覚はない。
風間が車でアトリエに送ってくれるが、息切れ激しく歩行困難。
1時に郷里の西脇から3人来訪。岡之山美術館の山﨑館長が美術館に赤色で足場を組んだシミュレーション画を持参。西脇の若者勇士2人は、仲間を動員して、市内のY字路に足場を組むプランを見せてくれる。1970年大阪万博のせんい館を赤い足場で梱包したが、それを西脇の市内の各場所で展開する計画を進行し始めている。
『文學界』の新年号に掲載予定の0歳から結婚した21歳までの自伝「運否天賦」追加原稿を徳永に活字化してもらうが、読み返すごとに次々と書き込み箇所ができて、まるで油絵を描いているように消したり書いたりの繰り返し作業を延々続けている。
午後遅くjabのSHINさんにヘアーカットを。うんと刈り上げて頭頂部だけ残す。いつも同じ顔を鏡に映すのに飽きたのでガラリと変身。女優の戸田恵子さんに美容院でバッタリ会う。レストランで会ったり、道路で会ったり、成城は狭いのかよく会う。アトリエに来たいというがスケジュールがバッティングするので、別の機会に。近々、上映される映画に出演しておられるが、何んとなく現代版新派的な映画のような気がするが、難聴なので日本語のセリフは理解できない。セリフの多い映画より、パッと見てわかるアクション映画ならいいのに。
昨日から大相撲が始まった。安青錦と藤ノ川のファンだけれど藤ノ川は負けた。今場所は優勝を狙う力士が多いので接戦になると思う。安青錦の化粧廻しはキース・へリングのデザイン。もうひとつ面白いのは、三角おにぎりをどかんと描いたもの。以前千代の富士、貴ノ花ら5人ばかりの化粧廻しをデザインしたが、安青錦か藤ノ川の化粧廻しをやってみたい。
最近、妻は面白いほど同じことを何度も聞く。最初はぼくが忘れているので聞くのかなと思っていたが、どうもそうじゃなさそうだ。
2026.9.15 西脇市出身の住友化学の相談役の十倉雅和さん夫妻の接待を受けて、六本木の住友会館へ。食欲がないので心配していたが、出てくる料理が珍しいものばかりで思わず食べたら、ほぼ完食。結局、美味しいものならいくらでも食べられるということかな。85階から東京の摩天楼を一望しながらの食事は非現実的で、大東京を目で味わう。東京タワーが眼下に小さく、まるでミニチュアのように見えるのが面白かった。十倉さんはぼくより14歳か年少者だが、昔の西脇の繁栄していた時代の懐かしい話に花が咲いた。食後、十倉夫人のショパンのピアノ曲を拝聴。
お土産の妻用の一人前に、やはり食欲のない妻も見違えるほど食べていた。就寝時間の頃食べ過ぎたのが少々たたった。
今日は安青錦、藤ノ川勝った。大リーグでは岡本33号は凄い。
2026.9.16 玉川病院の定期診断の予定だったが、雨も降っているし、何んとなく行きたくなくなったので止める。
国書刊行会の清水さん来訪。清水さんはぼくの出版物6本抱えている。来年は他の出版社の出版物も重なって出版ブームになりそう。
カタール国立美術館から依頼されているカタールの芸術家のポートレートのメンバーが決定して、細々したやりとりを徳永と赤羽さんが先方との電話で決めた模様。海外との仕事は日本と違って契約などしっかりしているので、逆に仕事はし易い。
今日も、ロンドンのマークさんとニューヨークのマークさん、2人のマークさんと今後の出版と個展の打合せをするが、心配なのはこちらの体力である。(よこお・ただのり=美術家)
