日常の向こう側 ぼくの内側 744
横尾忠則
2026.6.22 〈朝日の新書評委員にナントカという女優が決まるが海外在住のため、編集部と手続きをしている〉という夢を見る。〈知り合いの編集者(特定できない)に原稿を書いたが掲載誌が送られてこないと徳永が督促する〉夢。
昨日は息切れが激しく、立っておれない。いよいよ寿命かと半ば覚悟していたが、今朝は自転車でスイスイ走る。まだ大丈夫かな。
朝日新聞の吉村さんが8月で退社。アトリエで昼食を取りながら、感謝すると。辞めることに感謝?
2026.6.23 〈抽象的で観念的な美術装置を背景にサッカーの本田圭佑ばりのスーツを着て踊る〉夢。〈広大な平原をトラクターに乗った糸井重里さんが開拓している〉夢を見る。
熟睡したにもかかわらず、疲労度激しい。こんな日々が続いている。
神奈川県立近代美術館の長門佐季館長と南天子画廊の青木さんコレクションの件で来訪。茅ヶ崎は美容院とパン屋がなぜか多いとパン各種お土産。
夕方、依田さんいつものようにアポなしで来訪。救急車で運ばれたんですか、報知新聞で見て心配でと来訪。
2026.6.24 〈外国映画の美術担当を依頼されて、大渓谷の撮影に。撮った映像を現場でエフェクトする作業を〉。
大谷、岡本17号HR、新聞の見出しにはやっぱり大谷の名だけ。
玉川病院で定期診断。食欲がないのは塩分不足で脱水症状を起こすと。妻は逆に塩分少なめにと。
神田の東京堂書店で『未完で生まれて未完で生きて、未完で死ぬ』の自伝が1位にランキングされていると編集者の清水さんから報告。また新潮新書の『運命まかせ』の増刷が決まったと。
2026.6.25 あと2日で80代が幕を閉じる。80代は長かったけれど90代はうんと短く終りそう。
自宅もアトリエも樹木が繁茂してまるで山の中に住んでいるようだ。成城の町全体に樹木が多いので、植木の手入れなどしないで密林化させればいい。
藤森照信さん来訪。アトリエと自宅を夫婦の死後も残すべく何か方法はないものかと相談する。こういう家や土地の問題を活用する人がいるらしい。
夜中に足のくるぶしが化石のように硬くなっているのを指の爪で削り落とす。不思議な快感あり。
2026.6.26 今日が80代最後の日。何の感慨もなし。〈夏には瀬戸内海の豊島横尾館で板のキャンバスに絵を描く公開制作をする計画を立てる〉夢を見る。体力があるなら、ぜひやってみたい。
糸井重里さんが90歳の誕生祝いと救急車搬送見舞だと、なんやかんやと大量に食糧品など持参。これを全部食べると、また救急車だ。
2026.6.27 本日90歳の誕生日を迎える。ウソのような本当の話である。自宅の玄関には昨日から今日にかけて、花屋ができるほど花で息がつまりそう。
また今日から渋谷パルコでほぼ日企画の「はじめての90歳!」展で90点のポスター展示販売展開催。この大雨の中で誰が行く?
90歳なんて医者から死亡宣告を受けているようなもんだ。あと何日?ってね。
2026.6.28 〈何かの会合に招かれていて、偶然同席した映画監督と意気投合。何かコラボを? 帰路わが家(西脇の)へ寄るが、おでんが久し振りの再会に喜んで、足にまといつく〉。
この間から描いている「ヤコブと天使の闘い」の絵が苦難の果やっと完成。テーマの如く神が与えた試練にやっと耐えたかな? というか、試練だなんて人生の中で考えたことなど一度もないんじゃないかな。
朝日新聞の大西さんから美輪明宏さんの逝去を知り、追悼文を依頼されるが、もっと適切な人いませんかね。(よこお・ただのり=美術家)
