日常の向こう側 ぼくの内側 728
横尾忠則
2026.2.23 長女は天皇誕生日だから皇居へ旗を振ると出掛ける。
昨夜、尾上右近さんの「義経千本桜」をNHKで観たが舞台の光景が頭から離れず不眠状態。
今日も22度と気温が高く快晴。まだ2月だというのに夏日? まさか。
制作中の絵は、やゝ描き過ぎたのでもう少し以前の未完状態に戻す。何かにつけて、やり過ぎ、行き過ぎは増々自由から遠ざかる。
「週刊新潮」の種井さんが『運命まかせ』が成城三省堂書店の新刊の部で4位だと知らせてくる。相島がインターネットで検索したら新潮新書の部で一位になっていると報告。こういうことにいちいち反応しない方がいい。
夜、黒澤明監督の「生きる」を観る。ガンをかかえた主人公の志村喬は役所とガンとの板ばさみの末死亡。願っていた公園が完成し、それを彼岸と此岸の狭間の橋の上から見下す志村の霊の強烈なメッセージに気づいた者が何人いただろう。
おでん夕方退院。元気に見えるがえらい痩せた。一晩中顔の上に乗りかかって眠るが入院が長かったので人肌が恋しいのだろう。
2026.2.24 原宿の麺散といううどん屋さんから食器、その他のグッズなどの依頼。
妻、玉川病院へ定期診断。検査では問題はないが、問題は食欲のないこと。
デンマークのデザインミュージアムのコレクション展と中国天台山の寒山拾得の故郷の美術館で寒山拾得展。東京国立博物館の個展「寒山百得」展のポスターなどが出品されている。
カメラマンのマーク・オズボーンが三度目の親子(長女)写真の撮影に36年振りに来訪。
2026.2.25 〈西脇の市内マラソンに参加。トップグループで走るが、先頭は真矢ミキ。ぼくと併走しているのは李禹煥。ゴール目前で全員スピードアップ。結局3位か4位でゴールする〉という夢を見る。
2026.2.26 BAZAAR・artでイッセイ・ミヤケを着用した写真撮影。
ニューヨーク在住中の平野啓一郎くんから非常事態宣言の出た大雪の寒波の身体的苦痛を訴えたメールが届く。ぼくもニューヨークのあの強烈な寒波を経験しているので、わかる、わかる。
妻の食欲がないのが心配だが、その反作用ではあるまいが、おでんの一日に4回はタブー。食道にダメージを起こしているために、頭には空腹の信号がいくために食べたがるが、だからといって与え過ぎると危機的状況になると医師から厳重注意を受けている。
2026.2.27 アーティゾン美術館の松本副館長と伊藤学芸員来訪。ポスターのコレクションに関するミーティング。
おでんの体調悪く、再び入院。1週間以上の入院で点滴と薬で安静したが、食道炎の再発を抑える必要があるので様子を見るが、食べたがってもむやみに量を絶対にあげないことと注意を受ける。
2026.2.28 〈最終作品は川端康成の「眠れる美女」をモチーフにしたヌードを描くべき〉という夢を見る。
「週刊新潮」の種井さんが来訪。目下アトリエを工事中だが、そのことについてのエッセイを書いて下さいと来訪。
夜はWBCの全日本と中日戦、昨日に引き続き見るが大谷は出場せず。打撃練習だけじゃねえ。
2026.3.1 東京マラソンを見るが、アフリカ勢にいてこまされる日本選手にはだんだん興味がなくなってきた。せめてというわけではないだろうが、大阪マラソンの吉田にしても東京マラソンの橋本にしても、ダントツトップのパフォーマンスで「如何でしょうか?」とサービスしてくれているのかな。
初夏のような好天。野川公園で「週刊新潮」の連載エッセイ1本書く。アトリエから野川公園へは急勾配なので体力の限界に挑戦。(よこお・ただのり=美術家)
