日常の向こう側 ぼくの内側 733
横尾忠則
2026.3.30 4ヶ月続いたアトリエの改修工事がやっと終った。内外共に赤、黄、青、白と随分ハデに。磯崎新さんが見たら何て言うかな。ネオ・ポストモダンってとこかな。
イギリスのテムズ&ハドソン社の画集の日本版が、河出書房新社から出版が決まったとその打合せに岩本さん来訪。超豪華版と豪華版はイギリスのみで発売で、日本からは普及版が出版される。
2026.3.31 国書刊行会の清水さんが森山大道さんとの二人集出版のために来訪。これは変った本になるので乞うご期待。海外版の可能性もあり。
ニューヨークのフリードマン・ベンダ画廊のマークさんから「小さな絵画」の大規模展出品の依頼。大きい絵は描き過ぎたので、小さい絵は気分転換に丁度いい。
イタリアのフェラーリのコレクターからフェラーリのボディに絵を、という依頼あり。本当は現地で描きたいけれど、もう海外旅行は無理なので、車体の部分を送ってくることになりそう。
ショーン・レノンくんからおでんへ霊前花が届く。ヨーコさんはニューヨークの田舎で養生中。
2026.4.1 近年はエイプリルフールは無くなったのかな。ウソが日常になったからかな。
光文社新書の小松さんとライターの鈴木さん来訪。語り下しの新書版で何か?
妻が玉川病院の定期診断へ。決していい状態ではないらしいが、もうこの年齢になると、病気の多様化に振り回されている。お互いに90年代まで長命でいることが不思議。毎日が日常と非日常の間を往き来している。
2026.4.2 〈妻が玉川病院の名誉院長の中嶋先生から呼ばれて行く〉。夢まで病院通いだ。
妻が8時になっても起きてこないので、心配だったが、病院で言われたことが心配だったので心配しただけのことだった。
CWATで版画の個展の依頼にパトリシアさんら3人来訪。東京アメリカンクラブで海外コレクターを対象にした個展の開催。
アトリエの雑木の間を桜の花が真横に走っている。部屋の中にも花が飛び込んでくる。
2026.4.3 〈高倉健さんの中に邪悪な霊が入っているのか除霊のためには本人を殺す必要があるという。健さんに「死んで貰います」が、肉体的苦痛を伴いますがいいですか?と聞く。健さんは「仕方ないでしょう」と。では誰が健さんを殺すのかということになったので、ぼくは「警察の人が殺せば罪にならないのでは?」と言う。「そういう法律を作ればいいじゃないですか」とぼくが言うと、「それがいい」ということになった〉という夢を見る。
〈泉鏡花のような作品を集めた作品集の中に収録されているある現代作家と仕事をすることになった〉という夢を見る。
イッセイミヤケのデザイナーの宮前さんのグループ3人が来訪。次回のA―POCのコラボだが、ぼくの方が提供する作品がないので、次回にやりましょうということになるが、最近はファッションから離れた車の内装とか宇宙カプセルのデザインのような世界に関心があるといって、5月に渡米するという。
足の親指が痛いので成城外科整形外科の小林先生に足の爪を切って貰ったら急に楽になった。けれど20数年前の足の指の骨折がまだ痛む。
2026.4.4 今日は終日足の指の骨休みのために何十年振りかで自宅静養をする。
小雨に混じって庭の桜の老木の花びらが庭の中を舞っている。
2026.4.5 〈外国の書店で絵画とデザインの両部門に見たこともない自分の作品が掲載されている本を〉夢に見る。
足の指が靴を履くと痛かったが、サンダルだったら痛くないことがわかった。
ドラクロワにデュシャンが関与して作品がうんと面白くなった。発表の予定はないが。
アトリエの前にブルキナファソの大使館があるが、豪華に着飾った黒人男女が次から次に車でやってくる。夜桜花見パーティかな。
成城ではわが家の桜が一番だと思っていたら、石原裕次郎家の桜には負けた。(よこお・ただのり=美術家)
