日常の向こう側 ぼくの内側 722
横尾忠則
2025.12.22 〈サモアでかつてDVDを制作した時の録音技師が映画製作に参加して欲しいというが、目下磯崎新さんとコラボ中なのでと忙しい振りをする。そこに昔カレンダーをデザインした時のモデルなど過去に一緒に仕事をした人が次々と集まってきた。フジテレビの日枝久さんも登場して壮大なプロジェクトのエネルギーの中に巻き込まれていく〉という夢を見る。
滝沢直己さんがカルティエ現代美術財団の元館長のエルベさんが上海とサンパウロの美術館が個展を希望しているが受けてくれるかどうかの打診にやってくる。
おでんが一時退院する。人恋しいのかくっついて離れない。
2025.12.23 2月出版予定の新潮新書刊『運まかせ』のカバーの写真撮影に筒口さんとカメラマン来訪。
2025.12.24 雨の中アトリエまでの徒歩は重労働。
玉川病院定期診断。数値的には問題ないが気分的には問題あり。
夜、おでん急変。徳永がおでんを動物病院へ。脱水症状が激しく危機的状況だったと。正月明けまでの長期入院に。
夜、突然右足首に激痛。徳永が玉川病院の中嶋元院長に電話でサジェッションを受け、一件落着。
2025.12.25 〈西脇の産業道路で白バイをバイクがはね、警官は「カバンを盗まれた」と叫ぶ。そこに大型トラックが突っ込む〉 まるで現実の交通事故のよう。
年の瀬に誰か大物が死去するよと吹聴していたが、プロゴルファーの尾崎将司が逝去。
動物病院の先生から、おでんが回復に向いつつあると安堵の電話。
2025.12.26 〈講演会場のステージで何を話していいか立往生〉の夢。
アトリエの工事音が激しいので、年明けからは早朝6時~10時に変更してもらう。
2025.12.27 〈西脇から山奥に小林旭のコンサートに向うが、大混雑で会場途上でパニック状態。その内雨が降り出す〉夢を見る。
2025.12.28 アトリエの工事が入ってないので物音といえば、自分の咽の奥から聞こえる喘息の小さい悲鳴音だけだ。
2025.12.29 厳寒、快晴。巨大銀嶺富士がアトリエに迫る感あり。
朝日新聞に時代はY字路であふれているような記事とわが「Y字路」作品が掲載されている。
公園で日光浴をしながら犬連れの人にあふれている中でエッセイを書く。
2025.12.30 冬至のあと日が長くなったのが目に見えて感じる。終日アトリエで、週刊新潮のエッセイを書く。すでに2月までの原稿ができ上った。担当編集者にプレッシャーを与える愉しみがある。
2025.12.31 〈全く疲労を感じない久米宏さんに会って、どうしてこんなに元気なの?と聞いて、三宅一生さんのファッションショーの大劇場にぜんざいの差し入れをする。美輪明宏さんが「疲れた」と椅子に腰をかけている。会場を出た所で中森明夫さんと一緒に帰る篠山紀信くんに会う。肩を叩くと驚いた顔をして「美美ちゃん」に女王の霊がついているよという〉夢を見る。
年越そばを食べて、今世紀初めての紅白歌合戦を見るがやっぱり受けつけないので止める。
2026.1.1 2026年の年明け! アケマシテムニャムニャデゴザイマス。おとそで酔っぱらう。
年も増えるけれど薬も増える。
昼は公園でパンと牛乳。身寄りのない老人。
2026.1.2 〈初夢は3匹の猫が家の中でウンチをする〉夢。
2026.1.3 極端に年賀状が減った。いい傾向かも。
ちょっと動くだけで動悸、息切れが激しいのは去年と変らない。
2026.1.4 夢を見る間もなく爆睡の時間の冬眠。健康の極意は眠りにあり。
AIで人生が変ったという田島征三くん来訪。AIの醍醐味を語ってくれる。話を聞きながら、どうも自分がAIのような気がしてきた。
1979年ニューヨークに行った時、田島くんとニューヨーク、ロスアンゼルスを1ヶ月余り徘徊した時の忘れていた話を彼の天才的記憶力で次々に想い出す。
週刊新潮の原稿、正月休みの間に8週分入稿する。(よこお・ただのり=美術家)
