2026/03/27号 7面

日常の向こう側 ぼくの内側(横尾忠則)

日常の向こう側 ぼくの内側 731 横尾忠則 2026.3.16 〈ホテルの売店でヤス・キヨそっくりの小型芸人が働いていたので、ひとつ彼等をプロモーションしたくなって交渉するが、すでに彼等は引っ張りだこの人気芸人だったので、では彼等の追っかけになろうとホテルの売店に戻ると荒俣宏さんが彼等のグッズを沢山購入している。それを見た妻も、集めたいといい出す〉夢を見る。  部屋の中で視界の端にチラッと動くものを見ると、思わずおでんかと思ってしまう。  原宿の実業之日本社の親会社のレストランで茂木健一郎さんと2度目の対談をする。茂木さんはあと10回位したいとおっしゃっているらしい。帰路、足の爪が痛むので成城の小林整形外科へ。先生は、すでに治っている。痛むのは実体でなく記憶、だそうだ。  元大関若嶋津死去。以前に化粧廻しのデザインをしたことがある。他に千代の富士、若乃花も。  食欲のない妻が寿司を食べたので一安心。 2026.3.17 〈俳優の渡辺謙はぼくの弟らしい。彼は何かしたいことがあると言い張る。家族は反対するが、意志が強い。実に困ったものだと家族全員で頭をかかえる〉という夢を見る。  「FLASH」のインタビュー。『運命まかせ』について。  相変らずおでんに花やおくやみのメールが届く。本紙の角南さんからも。  安青錦に豊昇龍勝つが本物とは思えない。  ある小説家の文庫本の解説を頼まれるが、枚数が多いのと、本が部厚く、とっても読めそうにないのでお断りする。 2026.3.18 玉川病院腎臓内科副院長の今村先生は赤血球が少ないと酸素不足らしく、水分をしっかり、塩分を控えることと注意。泌尿器内科奥村先生は尿が出にくいが強い薬を与えると血圧が低いのでふらつく副作用ありと、弱い薬を与えられる。循環器内科の小野先生は今のところは特に心配なく、こんなもんらしい。元院長の中嶋先生を訪ねて雑談。各科巡りで忙しかった。 2026.3.19 〈西脇の商店街で山口昌男さんに会う。「最近の作品は面白いので今夜久し振りに話そうよ」「何時まで?」「そうだなあ午前1時頃まで」、遅くなるので母に電話する〉夢を見る。  広中平祐さん死去。対談したことがあるが、その時「落差が激しいほどエネルギーが増殖する」と作品評をされる。  「通販生活」の連載担当の横山さん退社のため挨拶に。 2026.3.20 〈どこにいるのか不明。多分関西。無断で出てきたので家、事務所に電話と思うが、番号が思い出せない。テレビ、編集者の人が周辺にいるが、誰だかわからない〉。半ば認知症的夢を見る。  春分の日、雨曇。祭日だけれどアトリエの工事が入っている。何となく落ちつかない日々が3ヶ月ぐらい続いている。今日で終るそうだが、どうかな。  コンビニで買った石窯パリジャンサンド・ローストポーク&ハムという長ったらしいパンのようなものの昼食。  隣町の鮎川さんを招く。今はAERAの仕事を自宅でしているとか。AIの話になる。 2026.3.21 〈神戸新聞社の先輩デザイナーで下宿させてもらっていた村松隆さんと電話で話す。奥さんは先に逝ってしまって、今は野良になった猫と遊んでいる〉という夢を見るが、村松さんはかなり前に亡くなっていたことに気づく。〈大阪の実の親の家を訪ねる。タクシーの中から、弟と妹と話す〉夢を見る。 2026.3.22 晴天なれど冷風なり。  長野の99歳のお母さんの介護から帰ってきた北沢さん。お土産大量に持参。 2026.3.23 さっきあったものが次の瞬間無くなる。こんな現象が多過ぎる。認知症ではなく本当に神隠しとしか思えない。老齢になると実際に起こる超自然現象ではないのか。  今日の千秋楽は昨日の取り組みが期待はずれだったために、今日はどうでもいいことになってしまった。  週刊新潮のエッセイの原稿を2本入稿したために、すでに6月2週分まで入稿したことになる。(よこお・ただのり=美術家)