
山村の開発と環境保全
本書は、まず、近年いわれる「中山間地域問題」を、東北という空間にこだわりつつ、戦後の地域諸政策に通底する問題として明らかにした。さらに、「スキー場開発」と「共同体的土地所有」のあり方から「地元主導型」の開発とは何かを論じている。加えて、山村住民の日常の実践や生活習慣の背後にある「暮らしの論理」を拾おうと努めたモノグラフを配した。次に、大資本がその力を見せつけるように開発を進める磐梯山周辺の実態をつぶさに見て、その問題点と山村住民の対応をミクロなレベルで考察した。資本によるスキー場開発の大きな荒波に対して、ムラを挙げて対処した集落とそれが可能でなかった集落の差異を実証的に明らかにした。最後に、実証的な研究を続けつつ、現代の山村の暮らしに肉薄する「論理」や環境保全への実践に踏み出そうとする時に有効なものの見方について考えてみた試論が収められている。
著者 | 松村和則 |
出版元 | 南窓社 |
頁数 | 358頁 |
発行日 | 1997 |
ISBN13 | 9784816502170 |
ISBN10 | 4816502173 |