ミエへの手紙
二十歳の日系二世メリー・キモトは、1939年、留学のためカリフォルニアから来日した。新鮮な驚きに満ちた父祖の国に魅了されたメリーは、幼なじみのミエ・ヤマサキに宛てて、日本での体験を克明に書き送る。初めて会う「おじいちゃん」、漢字の練習、日本人家庭での暮らし、田舎の風物、銀ブラ...しかし、戦争の足音は確実に迫りつつあった。日本文化への憧れも軍国色によって次第に色あせ、女性の精神と行動の自由を縛る家父長制の厳しさに反発がつのってゆく。日本人とアメリカ人の狭間で葛藤するアイデンティティ。そしてついに、真珠湾攻撃によって帰国の途は閉ざされた。戦争の過酷と、戦後のアメリカ市民権回復の闘いを経て故郷への帰還を果たすまで、メリーは友への手紙によって孤独を生き抜いた。無名の青春に刻印された知られざる日米現代史。Asian American Studies Association特別賞受賞。
著者 | メリー・キモト・トミタ |
出版元 | 朝日新聞社 |
頁数 | 475頁 |
発行日 | 1999-08-05 |