顧問官の政治学

言うまでもなく、フランシス・ベイコンはこれまで、デカルトと並ぶヨーロッパ近代哲学の創始者として称賛と非難をともに浴びてきた。しかし、本書では、何よりもまず、ベイコンを彼が生きた歴史の舞台に呼び戻すことを目指す。すなわち、本書の目的は、彼を「近代」の「哲学者」として偶像化するのではなく、ルネサンス期のイングランドの「顧問官」として歴史内在的に理解することにある。そのうえで彼のテクストを改めて読み直せば、ともすれば「近代」の「市民革命」に至る前史として単線的に理解されがちなルネサンス期において、むしろ逆に、豊かな人文主義的教養と人間の作為によって「内乱」を回避することを試みた一人の「助言者」の物語が浮かび上がるのではないか。この物語はまた、政治学の可能性を指し示す一つの歴史的事例として読むことも出来よう。
著者 木村俊道
出版元 木鐸社
頁数 306頁
発行日 2003-02
ISBN13 9784833223331
ISBN10 4833223333

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