20世紀日本怪異文学誌

“離魂病”が早くから日本人の間で知られていたことは『源氏物語』の「夕顔」の章に六条御息所の“生霊”として登場することでもわかる。明治に入っても三遊亭円朝の作に『離魂病』があるが、森鴎外の『分身』をはじめ泉鏡花や芥川龍之介が多重人格を競って取り上げ作品化したのは、現代人こそ複雑な深層心理をかかえているからにほかならない。そこで明治期から現代に至る日本文学の作品中から生霊もしくは多重人格をテーマにした小説を選んで検証し、読者の作品鑑賞の便宜に供することとした。森鴎外から山田風太郎まで、文学史の底に埋もれている異色作品を発掘した、画期的評論。
著者 山下武
出版元 実業之日本社
頁数 391頁
発行日 2003-09-05

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