核時代のテクノロジー論
一九二七年の『存在と時間』という歴史的名著によって二十世紀の哲学・思想における名声を確たるものにしたハイデガーの後期重要作『技術とは何だろうか』は、まさに今日こそ読むに値するものだ。元素を「挑発」して地上に虚無化を現出させる二〇世紀の人類史的出来事を踏まえたハイデガーの技術論は、本書のタイトル通り、核時代のテクノロジー論の始まりの位置に立つとともに、現代、そして未来にまで届く恐るべき生命力を持っている。本書では、『技術とは何だろうか』を中心に据えて、『存在と時間』はもちろん、そのほかのハイデガーの講演、さらには、同時代の同伴者であったアーレントからアリストテレス、プラトンなど古代ギリシア哲学まで幅広く目配せをしながら現代技術の根本に潜む光と影を考えていく。そして終章において、3・11以後の技術論の展望―何百年何千年も隔たった人びとどうしの相互協働の余地、隔世代倫理の可能性―を試みる。
著者 | 森一郎 |
出版元 | 現代書館 |
頁数 | 240頁 |
発行日 | 2020-03 |
ISBN13 | 9784768410196 |
ISBN10 | 4768410197 |