生命の谺川端康成と「特攻」
2022年、川端康成が没してから50年の月日が流れたことになる。誰もが知るノーベル賞作家の川端だが、1945年4月~5月、海軍報道班員として鹿児島県・鹿屋の特攻基地に滞在していたことを知る人は少ない。著者は川端作品から「後戻りのきかない崖っぷちのようなところで書いているという感じ」を受け、川端が抱えた哀しみの根に、「特攻」体験がどう関わるのか、現地に赴き詳細な調査を行った。川端が滞在した一ヵ月の間に、鹿屋から飛び立ち、散華した特攻隊員たちの具体的な人となりについても調べ上げ、彼らとの出会いと別れが戦後の川端文学にどのように影響したかを見極める。これまでの川端論から抜け落ちていた「特攻」体験を深掘りし、没後半世紀にして初めて明かされる真実を濃やかな筆致で綴る。
著者 | 多胡吉郎 |
出版元 | 現代書館 |
頁数 | 342頁 |
発行日 | 2022-02 |
ISBN13 | 9784768459164 |
ISBN10 | 4768459161 |