重ね書きする/される彼ら
本書収録の論考は、さまざまな資料や発表媒体との遭遇によってそのつど誕生したゆえに、語り口や表記の仕方に相違はあるが、統一せずにそのままにしたところがある。ただし、そのいずれの機会に於いても、本書が資料を生かす論述に意を注いでいることはいうまでもない。それとともに、大正文学の担い手たちの、いわば個体発生のしくみが、それ以上にいかに同時代テクストとの重ね書きのうえに成立しているかが浮かび上がってくるように心がけたつもりである。いまは、そうして重ね書きする/される彼らの現場をたどることで、文学が担う場所の豊かさが読者に伝わることを願うばかりである。
著者 | 日高昭二 |
出版元 | 翰林書房 |
頁数 | 544頁 |
発行日 | 2022-07 |
ISBN13 | 9784877374693 |
ISBN10 | 4877374698 |