ロシア文学の怪物たち

虚無的な現実を覆う皮膜の下で蠢く怪物たちの饗宴。間違いない、本書は毒にも劇薬にもなりうる。

━━━━━木澤佐登志

ロシア文学は現実の不確かさを読者に突きつけ、世界の裂け目に開いた深淵を露わにする。

『青い脂』(ソローキン)や『穴持たずども』(マムレーエフ)など“怪作”を翻訳してきた著者による「悪」のロシア文学入門。



誤解を恐れずに言うが、ロシア文学は危険だ。ロシアによるウクライナ侵攻によって現実に世界秩序が大きく揺れ動いている今日、それは劇薬ですらあるかもしれない。

(「はじめに」より)


2024年7月上旬発売予定です。



【目次】

はじめに

プロローグ悪との遭遇

第1章ペテルブルグの幽霊ゴーゴリ『外套』

第2章怠惰と実存ゴンチャロフ『オブローモフ』

第3章病める地下室男の独白ドストエフスキー『地下室の手記』

第4章もはや死はないトルストイ『イワン・イリイチの死』

第5章世界がひずむ音チェーホフ『六号室』

第6章 「われら」と「彼ら」のはざまでザミャーチン『われら』

第7章不可能性の怪物マムレーエフ『穴持たずども』

第8章空虚への解脱ソローキン『マリーナの三十番目の恋』

第9章もう一つの九〇年代ペレーヴィン『ジェネレーション〈P〉』

第10章回帰する亡霊エリザーロフ『図書館大戦争』

第11章可能性としての女性文学ナールビコワ『ざわめきのささやき』/トルスタヤ『クィシ』/スタロビネツ『むずかしい年ごろ』

おわりに

あとがき

ブックガイド
著者 松下隆志
出版元 書肆侃侃房
頁数 199頁
発行日 2024-07
ISBN13 9784863856295
ISBN10 4863856296

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