奈良時代政治史の諸相
政変・政争が繰り返された奈良時代政治史の諸相を解明。奈良時代には幾度となく政変・政争が繰り返されたが、その原因は天武天皇・持統女帝の唯一の子草壁皇太子の皇統を護持しようとする皇位継承を原因としたものであった。その草壁皇統も独身の孝謙女帝を最後として絶えることになって、皇位継承問題は皇親だけでなく公卿官人をも巻き込んで苛烈な政治闘争を現出させた。そのような政治推移のなかでの元正女帝・聖武天皇即位と藤原氏との関与を検討し、藤原四子体制や藤原広嗣の乱の実態を検証、また聖武護位後の光明皇太后の政治的権力の行使と娘孝謙への認識をふまえて、女帝論の研究史を前提に孝謙の中継ぎ論を実証的に展開する。そして孝謙後の皇嗣問題をめぐっての道祖王と淳仁天皇擁立を主因とする藤原仲麻呂の政治動向に注視し、さらに草壁皇統を固守しようとする聖武孫王である氷上川継や公卿勢力と、あらたに天智天皇系新皇統成立を目指す桓武天皇による権力闘争などの奈良時代政治史の一齣に焦点をあわせて、その諸相を解明する。
著者 | 木本好信 |
出版元 | 和泉書院 |
頁数 | 216頁 |
発行日 | 2025-02 |
ISBN13 | 9784757611108 |
ISBN10 | 4757611102 |