治安維持法一〇〇年

共産党の弾圧のみならず、日本が戦争へと突き進むなかで取締対象を異常なほど拡張していった治安維持法。朝鮮・台湾・「満洲国」でより苛烈に運用され、思想・言論・行動の自由を奪った実態を描き、「新たな戦前」状態の現在に警鐘を鳴らす。

[目次]

まえがき
第1章戦前の治安維持法体制
1 治安維持法とは何だったのか
――植民地朝鮮・台湾、「満洲国」における運用を視野に(荻野富士夫)
コラム1 「大東亜治安体制」の構想(荻野富士夫)
コラム2 治安維持法関係資料の残り方と現況(荻野富士夫)

第2章治安維持法に抗した人びとを語り継ぐ――教育・思想の自由をめぐって
1. 京都学連事件――治安維持法最初の適用事件 (本庄豊)
2.長野県「二・四事件」――「教員赤化事件」という攻撃に抗して(小平千文)
3.今こそ一五年戦争期の兵庫の「新興教育運動」から学ぶ(田中孝雄)
4.「唯物論研究会」弾圧と周辺の人々(黒川伊織)
5.村山俊太郎、ひでがめざした民主主義とそれへの弾圧(村山士郎)
6.北海道綴り方教育連盟事件と生活図画事件(川嶋均)
7.治安維持法下朝鮮の二つの学生運動――光州事件と春川「常緑会」事件(丸浜昭)
8.エスペランチスト・長谷川テル―日中友好のかけはしとなって(西田千津・田辺実)
コラム3 戦争末期の庶民の言辞から日本社会を見る(丸浜昭)

第3章現代の治安維持法
1.戦後、治安維持法体制の断絶と連続(関原正裕)
コラム4 特高・内務・司法官僚の戦後(桜井千恵美)
2.現代の治安維持――共謀罪・特定秘密保護法の成立(白神優理子)
3.安保三文書と改憲のねらい(山田朗)
4.権力犯罪を告発した「横浜事件」再審と国家賠償請求(山本志都)
5.経済安全保障のねらいと現在(布施祐仁)
6 戦後の学問と教育への国家統制と政治介入(河合美喜夫)

第4章治安維持法はどう教えられているか
1 平和に向けて教員と生徒はどう語り合うか――治安維持法に関するある授業から(内田一樹)
2 高校授業実践絵を書いただけで罪になるのか?
――治安維持法の変遷に注目して(伊藤和彦)
3 治安維持法は教科書にどのように記述されているか(河合美喜夫)



資料関連年表/関連法
著者 荻野富士夫
出版元 大月書店
頁数 200頁
発行日 2025-03
ISBN13 9784272510191
ISBN10 4272510193

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