天使も踏むを畏れるところ 上・下

浅間山のふもとにある「夏の家」で、村井俊輔は所員とともに「新宮殿」の設計を進めてゆく。村井の恋人、園芸家の藤沢衣子は、皇太子御成婚の立役者である東宮参与・小山内に依頼され、美智子妃の庭園の御用掛、相談役をつとめるようになる。緑青がうつくしい銅板葺きの緩やかな屋根、玄関ホール天井のやわらかなダウンライト、おびただしい数の障子が醸しだす静謐さ、人の目に触れ、手に触れる、建具や手すりなど木工造作のディテール...。村井が描く「新宮殿」の姿が次第に明らかになるにつれ、天皇の侍従・西尾が案じていたとおり、宮内庁の牧野が分を超えた采配を振りはじめる。―関東大震災から戦中・戦後、高度成長期まで、激変する日本社会を背景に、理想の建築をめぐる息詰まる人間ドラマを描き尽くす大河小説。
著者 松家仁之
出版元 新潮社
頁数 552頁
発行日 2025-03
ISBN13 9784103328155
ISBN10 4103328150

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