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【What’s New!】週刊読書人2024年7月12日号

【What’s New!】週刊読書人2024年7月12日号

【特集】
対談=稲葉振一郎×バーチャル美少女ねむ
人間を人間たらしめるものとは
『宇宙・動物・資本主義 稲葉振一郎対話集』(晶文社)刊行を機に

【本紙イントロより】 
 哲学、倫理学、社会学、経済学、宇宙開発、ロボット工学、文芸批評、文化研究、SF、ファンタジー、コミック、アニメーション――広大な関心領域を持つ社会哲学者の稲葉振一郎さんがこれまで行なってきた12本の対論を収録した『宇宙・動物・資本主義 稲葉振一郎対話集』(晶文社)刊行を機に、著者の稲葉さんと2022年刊行の『メタバース進化論』でITエンジニア本大賞を受賞したバーチャル美少女ねむさんとの公開対談を実施。その模様の一部を載録する。(編集部)


 

 本紙発売に先駆けて、登壇いただいたバーチャル美少女ねむさんが今回の対談の感想やどんなことを話したのかをご自身のnoteにまとめてくれました。公開対談全編もこちらのページから視聴可能です。

 今回取り上げた稲葉振一郎さんの『宇宙・動物・資本主義』についてねむさんは「様々な専門家の方たちとの議論を通じて、思考と思考が繫がり、(中略)稲葉先生の思索が宇宙のように拡張していく様を追体験できる本」と評します。他方で著者の稲葉さん自身は、扱うトピックが広範すぎて、ある意味掴みどころを見出すのが難しい本書について「雑多な対話の集積から何か新しいものが見えてくれば」と見解を述べます。

 人によって興味のあるポイントが異なる本書ですが、ねむさんは「まえがきにかえて」と11章「中国・村上春樹・『進撃の巨人』」を特に面白く読んだと言います。前者の『風の谷のナウシカ』考察、後者の中国をテーマにした対談の中で語られる『進撃の巨人』考察から本書の根底にある稲葉さんの「人間観」を見出します。新旧サブカルチャーのヒット作品の共通点とは。それとは別の視点で稲葉さんは漫画版『風の谷のナウシカ』のモデルとなった作品、正統後継の作品についても論じます。

 また、ねむさんのフィールドであるVR、メタバースの今後の展望をめぐってもお二人の見解が話し合われます。今のメタバースの姿は初期の2ちゃんねる? ユーザー数が増えていった先に起きることについての考察もぜひお楽しみください。

 余談ですが、本書10章「「新自由主義」議論の先を見据えて」(×金子良事)の初出は本紙2018年8月24日号で、本稿筆者が編集を担当しました。当時の対談収録時の思い出みたいなことを稲葉さんは対談動画の冒頭で振り返っていらっしゃるので、興味があればぜひそちらも見てみてください。結構細かいことまで覚えていらっしゃいました(苦笑)。(編集部峰岸)

 


【今週の読物】

▽『多言語的なアメリカ』(作品社)刊行記念対談〈西成彦×沼野充義〉(8)
▽映画時評〈7月〉(伊藤洋司)(7)
◇連載=「ビアリッツの「呪われた映画祭」」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=〈書評キャンパス〉小川和『日常的な延命』(佐藤述人)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側(横尾忠則)(7)
◇連載=百人一瞬 Crossover Moments In mylife ・トマス・カスリス(小林康夫)(7)

【今週の書評】

 〈3面〉
▽松井理恵著『大邱の敵産家屋』(好井裕明)
▽愛葉由依著『原爆被爆者の暮らしとトラウマ』
 (高山 真)
▽本村凌二著『神々のささやく世界』/『沈黙する神々の帝国』(有松 唯)
 〈4面〉
▽板谷敏彦著『国家の命運は金融にあり 高橋是清の生涯 上・下』(小栗誠治)
▽エドワード・ハーバート著『エドワード・ハーバート自伝』(伊澤東一)
▽白石典之著『元朝秘史』(櫻井智美)
 〈5面〉
▽朱和之著『南光』(栗原 悠)
▽イレーヌ・ネミロフスキー著『ジェザベル』
 (斎藤佑史)
▽レスリー・シモタカハラ著『リーディング・リスト』(山﨑修平)
 〈6面〉
▽アーティフ・アブー・サイフ著『ガザ日記』
 (篠田英朗)
▽アンガス・フレッチャー著『世界はナラティブでできている』(辻隆太朗)
▽田中瑛著『〈声なき声〉のジャーナリズム』
 (金井啓子)

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