お知らせ
【What’s New!】週刊読書人2024年11月15日号
【特集】
対談=山形浩生×伊高浩昭
チェ・ゲバラ、そしてキューバ
『チェ・ゲバラ 革命の人生 上・下』(みすず書房)刊行を機に
【本紙イントロより】
ジョン・リー・アンダーソン著『チェ・ゲバラ革命の人生 上・下』が10月にみすず書房より刊行された。本書訳者の山形浩生氏とジャーナリストの伊高浩昭氏による対談を実施し、チェ・ゲバラの伝記の決定版といわれる本書とキューバの現状についてお話いただいた。(編集部)
今回刊行された『チェ・ゲバラ 革命の人生 上・下』は2冊合わせて1000頁を超えていて、チェ・ゲバラのことを知りたければこれひとつで十分です。表紙も有名なあの写真ではなく、在りし日のチェ・ゲバラの面影なので、書店で平積みにされていたら間違いなく目に留まることでしょう。本編中にも貴重な写真がふんだんに入っているので、まずはパラパラめくって写真を眺めるのも面白いと思います。
訳者あとがきで山形さんは今回の対談相手の伊高さんの著書『チェ・ゲバラ 旅、キューバ革命、ボリビア』(中公新書)と読み比べた際に、本書で書かれていないことが伊高さんの本に書いてあると言及しており、そのこともあって今回、伊高さんにご登場願いました。綿密な取材を重ねた結果、これほど大部な本となり、チェ・ゲバラの伝記の決定版との呼び声の高い本書で書かれていないこととは。
訳者あとがきではアンダーソンが書いていないチェ・ゲバラの愛人隠し子問題のことに触れています。伊高さんはなぜこの情報を知っていたのか。長年ラテンアメリカ、キューバで取材を続けてこられた独自の情報源もありますし、キューバの事情も関係していると伊高さんは言います。これ以外にも、伊高さんの本で紹介されている、チェ・ゲバラがフィデル・カストロに送った「別れの手紙」の末尾をフィデル・カストロが改竄して読み上げた。この記述もアンダーソン本にはありません。このようにアンダーソンが本書で書かなかったいくつかの点を浮き彫りにし、同じジャーナリストとしての見解を伊高さんに語っていただきました。
本書の話以外にも、山形さんも本業の開発支援でキューバを訪れた経験があるので、キューバの現状のこともお話いただきました。このあたりの話は、米大統領選直後のタイミングでもあり、非常にタイムリーな話題にもなっています。そのあたりも含めて、ぜひお楽しみください。
※訳者あとがきの一部はみすず書房ホームページの特設ページでご覧いただけます。
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【今週の読物】
▽特集 2024 全集・講座・叢書・シリーズ (6・7)
▽「東海の中世史」(吉川弘文館)完結記念 寄稿=山田邦明・水野智之・谷口雄太/推薦人=河合 敦(8)
◇連載=「フランス映画を挑発しつづけた作家」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)368(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=〈書評キャンパス〉マリオン・メッシーナ『窒息の街』(佐藤勇輝)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側 666(横尾忠則)(7)
◇連載=百人一瞬 Crossover Moments In mylife 39 ・坂本龍一(小林康夫)(7)
◇連載=戯史 平成紀〈十一月〉(安倍夜郎)(7)
【今週の書評】
〈3面〉
▽小河孝・加藤哲郎・松野誠也著『検証・100部隊』(山田 朗)
▽辻内琢也著『[意見書]フクシマ型PTSD〝今やらねばならぬこと〟』(佐藤嘉幸)
▽カトリーヌ・マラブー著『泥棒!』(小川歩人)
〈4面〉
▽太田和彦・吉永明弘編著『都市の緑は誰のものか』(横関隆登)
▽松戸清裕著『ソヴィエト・デモクラシー』(柿埜真吾)
▽石村博子著『脱露』(富樫耕介)
〈5面〉
▽上田岳弘著『多頭獣の話』(長瀬 海)
▽円堂都司昭著『物語考』(仁平政人)
▽荒巻義雄・巽孝之編著『SF評論入門』(冬木糸一)
〈6面〉
▽ベンジャミン・クリッツァー著『モヤモヤする正義』(岩内章太郎)
▽畑中章宏著『傍流の巨人 渋沢敬三』(加藤幸治)