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【What’s New!】週刊読書人2025年1月24日号

【What’s New!】週刊読書人2025年1月24日号

【特集】
対談=宇野 常寛 × 頭木 弘樹
<共同体からの解放と〈庭〉という場>
宇野常寛『庭の話』(講談社)刊行を機に

【本紙イントロより】 
 批評家の宇野常寛さんが『庭の話』(講談社)を上梓した。一年ぶりの新刊となる本書で宇野さんは、〈庭〉という独自の概念を用い、ケアと民藝、パターン・ランゲージ、創作論、孤独、戦争、文学など、身近で多様な視点から情報社会との付き合い方を模索していく。念頭にあったのは、2020年に刊行した『遅いインターネット』のアップデート版だという。刊行を機に、作家・文学紹介者の頭木弘樹さんと対談をお願いした。(編集部)


 宇野さんの新刊『庭の話』のタイトルだけを見て、いわゆる園芸の「庭」について論じている本だと思った方もいるかもしれません。もちろん作庭などの話も言及されますが、本書をひと言で紹介すると、現在のSNSをはじめとしたプラットフォーム資本主義社会との付き合い方を考えていく一冊です。その際に宇野さんが用いるのが、〈庭〉――「共同体への接続を一瞬だけでもキャンセルし、人間を公共空間に引っ張り出す時間や場所」――の概念。ケアや民藝、パターン・ランゲージ、戦争、疫病、文学作品など、身近なテーマから、プラットフォーム資本主義社会との適切な距離感を宇野さんは考えていきます。

 対談中、宇野さんと頭木さんは〈庭〉的空間の孤独性について話しています。宇野さんの発言を引用します。「人間の尊厳にとって大事なのは、包摂されることよりも、排除されないことや侵されないことなのではないか」。公共空間はもちろん、インターネットを通して、常に誰かと繫がることを強制される現在。でも、私たち人間が求めているのは、繫がることよりも、「孤独なまま存在していい場所」なのではないか。

 また、『庭の話』の構成は「二段オチ」になっています。ここはぜひ、対談と『庭の話』を読んで確認してみてください。宇野さんが本書でどういうことに取り組んでいるのか、その狙いが分かると思います。


【今週の読物】

▽島崎邦彦講演会レポート(佐藤嘉幸)(7)
▽追悼=阿川尚之(前嶋和弘)(8)
▽追悼=西尾幹二(辻田真佐憲)(8)
▽追悼=高階秀爾(秋丸知貴)(8)
◇連載=「現在に続くメリエスの影響」(ジャン・ドゥーシェ氏に聞く)(聞き手=久保宏樹)(5)
◇連載=日常の向こう側 ぼくの内側 675(横尾忠則)(7)
◇連載=百人一瞬 Crossover Moments In mylife 47 ・ボヤン・マンチェフ(小林康夫)(7)

【今週の書評】

 〈3面〉
▽ロバート・C・アレン著『産業革命』(大橋里見)
▽中島𠮷弘著『現代社会の深層構造と人権』(西角純志)
▽有坂賢吾著『新左翼・過激派全書』(小林哲夫)
 〈4面〉
▽菱田雅晴編著『現代中国の腐敗と反腐敗』(李 昊)
▽バーナード・ ウィリアムズ著『恥と運命の倫理学』(澤田和範)
▽黒木朋興著『ロックと悪魔』(武田砂鉄)
 〈5面〉
▽モーリス・ジュヌヴォワ著『第一次世界大戦記』(関 大聡)
▽松浦寿輝著『黄昏の光 吉田健一論』(宮崎智之)
 〈6面〉
▽ギュンター・ヘーグ著『越境文化演劇』(松本俊樹)
▽水田宗子著『崖の上の家』(瀬戸智子)
▽唐十郎ほか著『唐十郎 襲来!』(高橋宏幸)

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