SS将校のアームチェア
古いアームチェアを修理に出したところ、中から書類の束が見つかった。鉤十字の印があり、一見してナチの文書とわかるものだった。誰が、何のために隠したのか。謎を託された著者は、その行方を追う。書類の持主は、ローベルト・グリージンガー。SS(親衛隊)将校だった。プラハの椅子職人、シュトゥットガルトに住む甥、二人の娘、遺された日記、各国の公文書館を探るうちに、その人生が徐々に明らかになっていく。娘たちは父親がSS将校であったことを知らなかった。グリージンガーはSSに所属しつつ、法務官として仕事をしていた。彼のように一見普通の市民として生活していたSSは多くいたが、戦後の裁判の対象ではなかったため、実態は定かではない。第三帝国の一部として淡々と職務を果たした「普通のナチ」とその家族。忘れられたナチの足跡が浮かび上がる。
著者 | ダニエル・リー |
出版元 | みすず書房 |
頁数 | 400頁 |
発行日 | 2021-11 |
ISBN13 | 9784622090342 |
ISBN10 | 4622090341 |